米流ドラマ:「正義」はどちらに?
米国の各党が全国大会を開催
多くのハリウッド映画では、「善と悪」がはっきり区別されます。米国の政治も、そのような二元論が鮮明になる一方です。問題は、二大政党の双方が、自らが善で相手が悪、と固く信じていることです。
8月後半、各党が4日間にわたる全国大会を開催しました。そして、民主党はバイデン氏、共和党はトランプ氏を大統領候補として正式に指名しました。それ自体は儀式的なものですが、その際のスピーチなどは非常に重要です。ここで双方が表明したのは、やはり、邪悪な敵を倒そうという決意でした。
民主党は希望と団結を前面に
先に開催された民主党大会は、ほぼオンライン方式で行われました。その最終日、バイデン氏は力強い指名受託演説を行い、「私は闇ではなく光の側」と述べたのです。「闇」とはトランプ陣営のことです。
ただし、バイデン氏が多用した言葉は「希望」や「団結」です。人種や所得、支持政党で分断された国に団結を取り戻す、という点は、大会を通じたテーマでした。それは、非白人のハリス氏を副大統領候補に指名したことや、この大会で、複数の共和党員がバイデン氏支持を表明したことに表れています。
バイデン氏の重点施策
政策面では、コロナウイルス対策に加え、環境問題への取組みが注目されます。新エネルギーへの移行過程で何百万人もの雇用が創出されるので、気候変動はむしろチャンス、とバイデン氏は言うのです。
また、同氏は「経済の不正義」に言及し、超富裕層や大企業に有利な現行税制の見直しを示唆しました。これは金融市場の懸念材料です。一方、「中国」に触れたのは、今回のスピーチで1回だけでした(医療備品に関し中国依存を脱する旨を主張)。摩擦をあおる発言が一切なかったのは、市場の好材料です。
共和党は礼賛と非難に終始
次に開催された共和党大会は、対照的なものになりました。人が集まる形式も併用されたこの大会では、参加者の偏りが目立ったのです。特に多かったのは、トランプ氏の親族一同によるスピーチです。
それらの内容は、トランプ氏の実績(コロナウイルス流行前は経済が好調だったことなど)への礼賛と、民主党やバイデン氏への非難に終始しました。バイデン氏は邪悪な「極左」に取り込まれており、もし同氏が大統領になったら犯罪やデモが激化し米国は破滅する、というのがトランプ陣営の主張です。
これは最終回ではない
具体的な政策については、トランプ氏は迫力不足です。4年前の選挙戦での「メキシコとの国境の壁」「中国製品への一律高関税」のような、強烈な印象を与える(良し悪しは別)メッセージが足りません。
ただ、大領領選の行方はまだ不確かです。バイデン氏優勢とはいえ(図表1)、地方の保守層による危機意識などを背景に、トランプ氏の支持率は下げ止まっているのです(図表2)。いずれにせよ、双方が相手を悪と決めつけている限り、「正義」をめぐって争うドラマは、選挙後も続編が展開されるでしょう。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/topics/
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