驚くべき香港:感染抑止に成功、しかし「国家安全法」が次の試練に

2020/06/29

模範的な対策で感染を抑止

活気あふれる国際都市・香港は、しばしば驚くべきことをやってのけます。中でも、昨年の民主化運動です。また、新型コロナウイルス対策でも驚くべき有能さを発揮し、これをほぼ抑え込んでいます。

香港の場合、このウイルスによる犠牲者が爆発的に増えても、不思議ではありません。発生地とされる中国本土に隣接している上、人口密度や高齢化率が高いからです。にもかかわらず、早期の入境規制、検査などが功を奏し、死亡者は、現時点で7人です(人口100万人あたりでは、東京都の約25分の1)。

昨年の「逃亡犯条例」改正案は撤回

しかし、ウイルス危機が小康状態となった結果、香港につきまとう問題が再燃しています。欧米流の政治的自由を享受したい香港民主派と、統制を強めたい北京・香港両政府との対立、という問題です。

昨年、香港政府は「逃亡犯条例」を改正しようとしました。香港に逃げた犯罪容疑者の本土への引き渡しを可能にする、というものです。しかしこれは、反体制派を不当に拘束する口実を、北京政府に与えかねません。そのため大規模なデモが続き、驚くべきことに10月、改正案の撤回に至らしめました。

しかし「国家安全法」は近々成立か

民主化運動はその後も続きましたが、今年1月以降、鎮静化しました。コロナウイルス対策としての集会制限を、民主派も尊重したのです。しかし感染の落ち着きに伴い、運動復活の動きがみられます。

こうした中、北京政府がいま急いで香港に課そうとしているのが、「国家安全法」です。それが成立すれば(6月末の見込み)、香港の治安維持に関し、北京政府の権限が強化されます。同法の狙いは、国家の分裂や体制の転覆を阻止する、というものですが、民主派の抑圧に使われる恐れも無くはありません。

民主化より経済の立て直しを

香港の独立性という観点に立てば、「国家安全法」は、「逃亡犯条例」以上に注視すべきものと言えます。しかしながら、昨年に比べると現在の民主化運動は盛り上がりを欠き、規模も大きくありません。

昨年の政治混乱、今年のウイルス危機で、香港経済はこの1年間、不振にあえいでいます(図表1)。そのため、経済の立て直しを優先すべきとの認識が、市民や企業の中で増えているのが実状です。香港に拠点を置く海外企業も、「国家安全法」への賛意を相次いで表明しています(二つの英系大手銀行など)。

金融市場は民主化運動に冷淡だか・・・

一方、米政権はこの法を強く非難し、香港に認めている貿易上の優遇措置を見直す、と圧力をかけています。しかしそれは、香港に所在する米企業にも打撃を与えるため、優遇措置の撤廃は非現実的です。

よって香港の国際的地位は、堅持されるでしょう。また「国家安全法」は、過激なデモを防ぎ、経済の安定に資するかもしれません。そうした観測もあり、香港株は、底堅い動きを示しています(図表2)。ただ、そんな楽観を打ち砕く民主化運動が再燃し、世界を再び驚かせる可能性も、皆無ではありません。

図表入りのレポートはこちら

http://www.skam.co.jp/newest_report/contents_type=8&type=topics

 

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