コロナ不況下の株高:「神」は健在であり、株価上昇は合理的
戦後最悪の不況にもかかわらず、株価は反発
新型コロナウイルスによる惨状をみると、「神など存在しない」と言いたくなるかもしれません。たしかに、これによる死亡者は世界で28万人を超え、世界は現在、戦後最悪の不況に陥っている模様です。
にもかかわらず米国株(図表1)などは、3月下旬以降、顕著に上昇しました。外出制限が徐々に解除されれば今年後半に米景気は緩やかに回復する、との期待が広がっているためです。加えて、米国などの金融緩和策(中央銀行による大量の資金供給など、図表2)も、金融市場に安心感を与えています。
株価が表すのは「現在」の景気ではなく、経済の「全体」でもない
よってコロナ不況下の株価上昇は、むしろ合理的な動きです。そもそも株式市場とは、現在の経済全体を表す鏡ではありません。今が最悪でも、半年~1年後の見通しが明るければ、株価は上がり得ます。
また、人々が引き続き外出を控えたとしても、経済全体が停止するわけではありません。例えば食品など、生活必需品への需要は無くなりません。さらに、生活や学習、仕事のオンライン化は、テクノロジー企業への追い風です。足元の米国株上昇を主導しているのも、そのような企業の株価です(図表1)。
無制限の金融緩和策を行っている限り、金融危機は避けられる
金融緩和策による市場心理の安定についても、理屈にかなっています。実体経済と金融市場に資金が無制限に供給されている限り、資金繰り難で破たんする企業は、理屈上、多発しないと考えられます。
それほどの金融緩和策は、平時には行えません。通貨を発行し過ぎると、通貨の価値低下、つまりインフレ(全般的な物価高)が急進しかねないからです。また、企業を見境なく救済すれば、自助努力を妨げ、経済活力を損ないます。しかし現在は緊急時なので、そうした懸念はひとまず脇に置くべきです。
市場機能のおかげで、インフレ懸念はほとんど無い
インフレについては今、その懸念すらほとんどありません。操業や営業の停止で、物やサービスに対する総供給は減っているものの、それ以上に、雇用・所得減のため総需要が大きく減っているためです。
こうした市場機能(需要・供給による価格形成)は、「神の見えざる手」と称されます。それが鮮明なのは、歴史的な安値にある原油です。世界景気の回復ペースが当面緩慢だとすれば、原油需要は低迷し続け、原油安も続くでしょう。これは様々なエネルギーや製品の価格を、ひいてはインフレを抑えます。
不況(→緩慢な景気回復)→低インフレ→金融緩和→株高
ただし、ここに挙げた株高要因は、確実ではありません。特に、外出制限の解除を急ぎ過ぎると、ウイルスの第2波に襲われかねません。そのショックは、金融緩和策だけではおそらく吸収し切れません。
それでも金融市場は今、明るい面に着目しています。これは能天気な楽観というより、いわば合理性への信仰です。事実、市場の合理的な働きゆえにインフレ懸念がほぼ無く、だからこそ各国は金融緩和を行えるのです。市場機能という「神」は健在であり、それが少なくとも株式市場を救っているのです。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/topics/
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