コロナショック後の世界:暗闇の中で、光明を見出す
教訓を生かす
地球が回っている限り、夜明けは訪れます。混乱を極める金融市場についても(図表1)、同様です。新型コロナウイルス(以下「ウイルス」)で人類が滅びない限り、市場はいずれ平穏を取り戻すはずです。
ただし、そのためには、ウイルス感染が収束の動きを示すことが必要です(気温が上昇する5月以降か?)。各国経済へのダメージも、まだ定かでありません。とはいえ、この苦い経験から教訓を得ることは、すでに可能かつ必要です。また、コロナショック後の世界を展望することも、ある程度は可能です。
①一方的な相場はいずれ終わるが、②タイミングは誰も予測できない
第一の教訓は、上昇し続ける相場はない、という、本来当然のことです。この10年以上、米国株は幾多の試練に耐え、上昇相場が続きました(図表2)。ただ、金融緩和依存という危うさもありました。
それでも1か月ほど前までは、今年も米国株などは緩やかな上昇相場が続くだろう、との楽観論が主流でした。しかし今、ほとんど誰も予測できなかったウイルスに世界は翻弄され、株式市場は、下落相場にあっさりと転じました。人間の予測能力は貧弱で、危機対応力も案外弱い、これが第二の教訓です。
③グローバル化した現在、自国中心主義は破滅をもたらす
第三の教訓は、グローバル化に関連します。世界が緊密に統合された現在、ウイルスの感染や、金融市場の混乱は、国境を越えて瞬く間に広がります。それらに対処する上では、国際協調が欠かせません。
身勝手な自国中心主義が余計な混乱をもたらすことは、米国のトランプ政権が見事に実証しました。同政権は先週、欧州からの渡航制限を発表しましたが、これは欧州側との事前相談の無い、一方的な措置だった模様です。そうした措置に驚いた米国株市場は、過去最大の下げ幅という形で反応したのです。
④危機時には、非民主的・非資本主義的な措置も止む無し
中国では、都市封鎖などが奏功し、感染はひとまず沈静化しました。それらは国民の自由を厳しく制約するので、民主主義的とは言えません。しかし欧米でも今、同様の措置をとらざるを得ない状況です。
また、欧米や日本の中央銀行は、資金供給や資産購入などで金融市場の混乱を抑えようとしています。これらは、現在のような局面では正しい措置ですが、非資本主義的な、いわば中国式の市場介入です。危機に対処する上では、中国式の政治・経済体制の方が有効なのかもしれない、これが第四の教訓です。
⑤働き方は変えられる
身近な面では、ウイルス感染を防ぐべく、テレワーク(在宅勤務など)や時差通勤が日本でも導入されつつあります。それでも、総じて仕事は回っています。働き方は変えられる、これが第五の教訓です。
よって日本人の働き方は今後、より人権を尊重したものに移行しそうです。また、先述した第三の教訓を生かせば、コロナショック後の世界では、温暖化、テロなど諸問題への対処時、国際協調がより強固になるはずです。そのように教訓を生かす限り、夜明け後の世界は、前よりも明るさを増すでしょう。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/topics/
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