東南アジア取材報告②:タイも洗練された先進国になれる

2020/01/14

すでに停滞国?

データは客観的ですが、質の良し悪しを表しません。報道は便利ですが、中立性を欠きます。よって、ある国の真実を知るには、現地に行くのが一番です。特にそう断言できるのは、タイについてです。

タイの経済成長率は、東南アジア内では見劣りします(図表1)。自国通貨高などのため、特に輸出が低調です。低成長に加え高齢化が始まっているため、欧米メディアなどは、タイは先進国になる前に日本化した、と言います。クーデターが頻発するなど政治も安定せず、現政権も軍部の影響下にあります。

実際には、5年で驚くべき進化

しかし、そんなデータや報道から受けるネガティブな印象は、現地へ行くと完全に覆されます。筆者が前回往訪した5年前に比べ、タイは量的にも質的にも豊かになったことが、一目瞭然にわかるのです。

首都バンコクに限れば、もはや先進国と呼んでよいほどです。これはオフィスビルや鉄道などのハード面に限りません。いわゆる民度(道徳的・知的な水準)でも、日本に優っている部分が少なくないのです(例えば、日本と異なり、満員電車に強引に乗り込んでくる者や駅を汚す者は極めて少数。写真1)。

屋台が激減し、後進国ムードが希薄に

何よりも驚くのは、街中の歩道を埋め尽くしていた屋台(写真2)の激減です。多様で安価な料理を提供する屋台こそは、バンコクを象徴するものでした。その多くが消え、風景と匂いが一変したのです。

これは約3年前、クリーン化を掲げる当時の軍事政権の意向で、バンコク市当局が屋台の規制を強化したためです(→営業可能なエリア数は約4分の1に)。所定の施設に屋台を集めるといった措置も講じられていますが(シンガポールの「ホーカーセンター」が手本)、多くの屋台主は不満を感じています。

軍部が秩序と規律を導入

本件に関する国外の報道も、総じて批判的です。しかし屋台は、歩行者の通行を妨げます。屋台が無秩序に広がる限り、後進国ムードも消えません。そのため実は、規制強化を支持する市民も多いのです。

こうした強権措置が可能なのは、2014年のクーデター以降、軍部が政治の主導権を握っているからです。屋台に限らず、軍部は、やや大らか過ぎるタイ社会に軍隊式の規律を注入しようとしているのです。それらによりタイの洗練度が向上している以上、軍政にも良い部分がある、と認めざるを得ません。

後進国から中進国へ、そして先進国へ

実際、わずか3~5年でバンコクは質的進化を成し遂げ、今や東京より都会的な部分もあります。データや報道ではわからないこの事実を知ると、東南アジア全般に対する見方も大きな修正を迫られます。

よく聞かれるのは、東南アジア諸国は結局「中進国」止まりで、先進国にはなれない(シンガポールを除く)との見方です。タイについても地域間格差が大きいので、一人あたり経済規模はまだ日本の約5分の1です。しかしバンコクの進化をみると、タイなどは日本に追い付けない、とはもう言えません。

 

図表入りのレポートはこちら

http://www.skam.co.jp/newest_report/contents_type=8&type=topics

 

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