2020年の予想:世界経済の情勢は昨年よりも良好

2020/01/07

① 波乱要因は、中東情勢

昨年は、多くの人の予想に反し日米の株価が20%前後も上昇するなど、投資家の視点で言えば幸運な1年になりました。今年はそれには及ばずとも、株式投資などでまずまずの収益が見込めるでしょう。

しかし油断は禁物です。それを知らしめたのが、いま激化しているイランと米国の対立です(→株安・原油高・円高が一旦進行)。直ちに戦争になるとは考えにくいものの、今年も中東情勢は最大の脅威です。

② 注目イベントは、米大統領選

米政権の強硬ポーズは、今年11月の大統領選が背景にあります。北朝鮮への融和路線などをみて、トランプ大統領は弱腰だという不満が、同大統領の支持基盤である保守強硬派内で募っているのです。

ただ、再選を目指すトランプ氏が最もアピールしたいのは、米経済の堅調さです。そしてよほど景気が悪化しない限り、再選は固そうです。よって、景気や株価に害悪を及ぼす戦争までは望んでいません。

③ 朗報は、米中「貿易戦争」の一時休戦

「貿易戦争」でも同様です。昨年終盤の株高は、米中の部分合意(追加関税の撤回等)を投資家が好感したことが主要因です。それを裏切って米政権が再び関税攻撃を仕掛ける可能性は、高くありません。

米中の対立緩和は、世界経済への朗報です。実際、中国の生産活動には、すでに安定化の動きがみられます。これらを受け、世界全体の今年の経済成長率は、昨年(3%程度)をやや上回ると予想されます。

④ 留意すべきリスクは、原油高・物価高

とはいえ、中国の高度成長は一巡したため、今年は6%の成長率を保つのが精一杯でしょう。また、成熟国である米国、ユーロ圏、日本は、それぞれ2%台、1%台、0%台の低成長にとどまりそうです。

景気を支えるべく、各国は超低金利の金融環境を維持する見込みです。ただ、その前提はインフレ率が低位であることです。それだけに、原油高(→物価高、図表1)をもたらす中東危機が警戒されます。

⑤ 基本シナリオは、緩やかな株高

もっとも、米中の部分和解や世界的な金融緩和を受け、今年の日本株や米国株は、年間で最大10%程度の上昇を期待してよいでしょう。ただ、一番の問題は、昨年の株価が上がり過ぎたことだと言えます。

そのため、中東の紛争などを理由として、一斉に利益確定売りが広がる場面がしばしばありそうです。そのような場面では、円高も進みやすくなります。日本円は依然、避難先通貨とされているからです。

⑥ 有望とみられる投資先は、東南アジア株とリート

それらを踏まえると、今年は、出遅れ感の強い東南アジア株(図表2)が投資候補となり得ます。安定的な分配金利回りが見込め、かつ円高の影響を受けにくい、国内のリート(不動産投信)も有望です。

そうした戦略以上に重要なのは、昨年の教訓です。つまり、懸念材料が多数ある中でも、人々と権力者が株高を熱望し、政策もそれを支援すれば(利下げなど)、株価などは結局上がる可能性が高いのです。

 

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/topics/

 

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