祝!新中国成立70周年:苦難を経て、驚異の大国に
驚異の発展
1949年10月1日、中華人民共和国(新中国)が成立しました。主導したのは、激しい内戦を制した共産党です。そして、同党の一党体制による70年間を経て、この国は驚嘆すべき発展を遂げました。
しかも、現在の中国は、豊富な労働力を用いた「世界の工場」にとどまっていません。通信関連などの先端技術でも先頭を争い(図表1)、米国がパニックに陥るほどです。スマートフォン決済などの新しい仕組みも、中国がいち早く取り入れています。日本は今や、それに少しでも追い付こうと躍起です。
苦難の歴史
そうした中、新中国の成立記念日である国慶節が盛大に祝されました(安倍首相も「日本国民を代表し」祝意を表するとともに、日中関係の発展を祈念)。しかし、新中国の道のりは、苦難の連続でした。
振り返ると、大躍進政策(1958~1961年頃)では農工業の増産に失敗し、ひどい飢きんが発生しました。その後、文化大革命(1970年代半ばまで)では知識人などが反革命分子として迫害され、世界の経済発展から取り残されました。天安門事件(1989年)では、民主化運動が厳しく弾圧されました。
実力の発揮
最も解釈に悩むのは、文化大革命です。ただ、証言などからわかるのは、当時は多数の人が「真の社会主義」を目指す革命思想に取りつかれ、エネルギーが非合理的な運動に注がれた、という事実です。
しかし改革開放(1978年)に伴い、巨大なエネルギーの向かう先が合理的な経済成長へと転回しました。その際には市場原理が部分的に採用され、もっと豊かに、という個人主義的な欲求が解き放たれました。そう考えると、以後における中国の急発展は、偶然ではなく当然の成り行きだと理解できます。
現在の課題
中国には、今も課題が多数あります。対米関係、香港の地位、環境問題などです。とはいえ、過去の苦難に比べれば克服は容易、との自信がうかがえます(ただ、党の過去への表立った自己批判は無し)。
一党体制についても、近い将来に崩壊することはないでしょう。過去の苦難と困窮を経て、安定と繁栄が一番だと痛感されているからです。自由奔放な米英式民主主義を中国の人々に説いても、共感を得られません。現体制を維持しながら経済をさらに発展させた方がよい、というのが多くの人の本音です。
成長の持続
現在の体制が揺らぐとすれば、第一に、政治腐敗や汚職が横行し人々の不満が爆発する場合です。ただし、厳格な腐敗撲滅運動が奏功し(日本も見習うべき)、そうした怒りは現時点では抑制されています。
第二に、経済の悪化により体制が正当性を失う場合です。実際に今、経済成長率は低下傾向です。しかし経済規模(GDP)が拡大しているため、「成長額」(=経済規模×成長率)はまだ増え続けています(図表2)。成立100周年を迎える2049年、中国は一体どれほどの超大国になっているのでしょうか。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/topics/
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