混沌のブレグジット:しかし、英国は捨てたものではない

2019/09/10

なぜ英国が注目されるのか?

嫌でも付き合い続けねばならないものがあります。現在の金融市場では、それが二つあります。一つは、米国発の貿易問題です。もう一つは、英国の欧州連合(EU)離脱、すなわちブレグジットです。

ブレグジットは、米中貿易摩擦に比べると世界経済への直接的影響は軽微です。それでも金融市場が英国の動向を注視するのは、無理もありません。首都ロンドンは、ニューヨークなどと並ぶ世界の金融センターだからです。また、産業革命や議会政治の発祥地としても、英国は大きな存在感を誇る国です。

ブレグジットは大きな山場に

しかし英国の政治は、7月に就任したジョンソン首相の型破りな行動で、カオス(混沌)と化しています。発端は先月末、9月中旬から10月中旬まで議会を休会するとジョンソン氏が表明したことです。

その目的は、自分のペースでEUとの離脱交渉を行うことです。ジョンソン氏は「合意なき離脱」も辞さず、とする一方、大半の議員はこれを阻止したいからです(ジョンソン氏も協定締結を望んでいるものの、EUとの交渉を有利に進めるには、合意なき離脱をちらつかせることが必要、という考え)。

与党議員が示した意地

この休会には、多くの国民(図表1)が猛反発しています。現時点のEU離脱期限である10月末を控え議会の活発な討議が求められるまさに今、ジョンソン氏は、その討議を封じようとしているのです。

さすがにこれは与党・保守党の造反議員を生み、「離脱延期法」の成立をもたらしました。離脱協定がまとまらず、かつ合意なき離脱を議会が承認しなければ、首相はEUに来年1月末までの離脱延期を求めねばならない、との内容です。ジョンソン氏がこれを無視すれば、重大な違法とみなされるでしょう。

合意なき離脱の可能性はまだまだ残る

ただし、10月に解散・総選挙を行って造反者排除後の保守党が勝利すれば、この法律を無効化し得ます。しかし首相が議会に提案した早期総選挙の動議は二度否決され、この選択肢はほぼ無くなりました。

とはいえ、造反者除名で与党が大幅な過半数割れとなっているため、11月以降には解散・総選挙を行う必要があります。よってひとまず来年1月までの離脱延期が決まったとしても、総選挙で保守党や強硬な離脱派の「ブレグジット党」が大きく勢力を伸ばした場合、合意なき離脱の確率が再び高まります。

保守主義の真価

それでも、ここ数日の動きが好感されポンドが上昇したのは(図表2)、もっともな理由があります。つまり議会が合意なき離脱を拒絶する限り、首相の独断による強引な離脱は困難、と確認されたのです。

そして、保守党の造反議員は保身よりも国益を優先した、と喝采されています。これは、共和党のほとんどの議員がトランプ大統領に媚びを売る米国とは対照的です。米国などと同様、保守派の迷走が著しい英国ですが、伝統と良識を重んじる保守主義が米国よりは根強く残っている、と言えるでしょう。

図表入りのレポートはこちら

http://www.skam.co.jp/newest_report/contents_type=8&type=topics

 

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