欧州3か国で朗報:ユーロの将来は意外に明るい
ユーロ安は終盤か
暗いトーンの報道が目立つ昨今ですが、実は明るい出来事も少なくありません。特に、(意外かもしれませんが)ユーロ圏においてです。ユーロ(図表1)が反発するのも、遠い先のことではなさそうです。
たしかに、景気減速を受けた利下げ観測など、ユーロ安にはそれなりの理由があります。ただ、米国の方が利下げ余地が大きいことなどを踏まえると、一段のユーロ安・ドル高は限られるでしょう。さらに、ユーロのポジティブ材料として、主要3か国(独・仏・伊)における政治面の動きが挙げられます。
イタリアは新連立へ
一番の好材料は、イタリアで新しい連立政権が成立する見通しとなったことです。これに伴い、ユーロ圏最大のリスクであるイタリアの財政懸念が和らぎ、同国の長期金利は1%未満へ低下しています。
従来の連立政権は、「同盟」と「五つ星運動」によるものでした。主導したのは、反移民の極右政党「同盟」を率いるサルビーニ副首相です。そうした中でイタリアは、欧州連合(EU)と鋭く対立してきました。サルビーニ氏はEU懐疑派の急先鋒で、財政規律を定めるEUのルールなどを軽視するからです。
劇的な主役交代
極右の「同盟」と左派寄りの「五つ星運動」の連立は、もともと不自然なものでした。案の定これは14か月で崩壊し、近日中に「五つ星運動」と中道左派の民主党からなる連立政権へ移行しそうなのです。
主役に躍り出たのが、これまで影の薄かったコンテ首相(政党無所属)です。同首相は今般、解散総選挙を企てたサルビーニ氏を叱責した上、新連立の立役者となっています。新連立ではコンテ氏の首相続投が見込まれるため、穏当な同氏のもとでイタリアの財政再建やEUとの関係修復が期待できます。
ドイツの極右は伸び悩み
今月初にドイツの2州で行われた地方議会選も、前向きに評価すべき結果となりました。一つの州では中道右派、もう一つの州では中道左派が、それぞれ得票率を下げながらも第一党の座を守ったのです。
両州は旧東ドイツに属し、旧西ドイツと比べ発展が遅れています。そうした不満を背景に、今回は極右「ドイツのための選択肢(AfD)」が第一党に躍進する可能性もありました。しかし結局、両州ともAfDは第二党にとどまりました。過激さを嫌うドイツ人の良識がまたしても発揮された、と言えます。
マクロン仏大統領の復活
ユーロ圏のもう一つの大国・フランスでも、明るい動きがみられます。まず景気については、ドイツと比べれば堅調です。世界貿易が低迷する現在、ドイツほどには輸出依存でないことが奏功しています。
マクロン大統領の支持率も最悪期を脱し(図表2)、威光が蘇りつつあります。フランスが主催した先月の7か国サミットに関しても、マクロン氏はトランプ米大統領らと対等以上に渡り合った、と称賛されています。EU統合を最も強力に追求する同氏の復活は、EUやユーロにとってこの上なき朗報です。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/topics/
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