欧州取材報告②:EUの中心で、欧州の奥深さを学ぶ

2019/07/23

新旧の共存

ベルギーの首都ブリュッセルは、欧州連合(EU)の実質的な「首都」と呼ばれます。古さと新しさ、喧騒と秩序が共存するこの街を訪れると、欧州の過去、現在、未来について様々な思いが去来します。

15世紀頃の面影を残すブリュッセルの旧市街(写真1)へ行けば、歴史の重みが感じられます。一方でブリュッセルには、EUの法案作成や法の施行を担う欧州委員会の本部(写真2)など、EUの機関が数多く置かれています。近未来的なそれらの威容をみると、欧州統合にかける決意が伝わってきます。

なぜブリュッセルなのか?

また、ブリュッセルでは外国生まれの人が過半を占めますが(図表1)、おおむね調和と活気を保っています。国々の協調と繁栄を目指すEUの首都として、これ以上にふさわしい国際都市はありません。

ただ、ここに本部が置かれたのは、EUの前身である欧州経済共同体(EEC)を設立した国々の妥協の産物でした。アルファベット順で筆頭に来るBelgiumにとりあえず本部を置こう、となったのです。しかし「首都」としてのブリュッセルの適切さが認められるにつれ、これが定着し現在に至っています。

トップ人事にみるEUの進化

そして今、EUの歴史の中で画期的なことが起こっています。EUで最強の職である欧州委員会委員長として、ドイツの前国防相、フォン・デア・ライエン氏が欧州議会で承認されたのです(11月就任)。

ライエン氏は、EU初の女性委員長となります。「女性の活躍」で世界をリードする欧州が、それを一段と推し進めたのです。加えて、ドイツ人の委員長は約50年ぶりです(当時はEEC)。侵略戦争の反省もあり控えめな姿勢に徹してきたドイツが、ついに方向を転換し、自己主張に乗り出すのでしょうか。

ドイツとフランスの協調に期待

もっともライエン氏はブリュッセル生まれの国際人で、その思想はナショナリズムからは程遠いものです。欧州の団結が求められる中、頼もしい(ほかの国々からみると手ごわい)委員長になるでしょう。

ライエン氏はそのような人物なので、マクロン仏大統領からも支持されています。同時に同大統領は、フランス人のクリスティーヌ・ラガルド氏を欧州中央銀行(ECB)総裁に指名することに成功しました(11月就任予定)。国際通貨基金(IMF)の専務理事として著名な同氏も、視野の広い女性です。

EU統合は長い目で見守るべき

こうしてみると欧州は、ドイツとフランスの主導で、基本的な方向としては統合を深化させていく、と見込まれます。ただし、欧州統合はあくまで長期のプロジェクトであり、急ぐべきではありません。

今やEU内は簡単に移動することができ、ユーロが広く使えるので、統合の利便性はよく実感できます。しかし一方、国籍色を排除したEU本部などからは、無機質な冷たい印象も受けるのです。よって欧州は、国という古い概念とEUという新しい枠組みを、向こう数百年はうまく共存させるのでしょう。

図表入りのレポートはこちら

http://www.skam.co.jp/newest_report/contents_type=8&type=topics

 

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