来週の金融市場見通し(2022年11月7日~2022年11月11日)

■来週の見通し

米連邦公開市場委員会(FOMC)では、0.75%の大幅利上げ継続が決定されました。声明ではこれまでの累積的な金融引締めの経済やインフレへの影響を検証するため、一旦利上げペースを緩める方針を示唆したと受け止められましたが、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がタカ派的な姿勢を維持したことから、米金融引締めが長期化するとの見方に変わりました。来週は米雇用統計を受けた米金融市場の反応に加え、米消費者物価指数などの経済指標や国内企業の決算、また米中間選挙の結果も注目されます。

◆株価 :不安定な展開か

日本株は、不安定な展開が予想されます。FOMCを受け、米国の利上げ局面が長引くとの観測が広がり4日に日経平均株価は大きく下落しました。とはいえ、12月には利上げ幅が縮小する可能性もあることが、株価を下支えする見通しです。ただ、米国で発表される消費者物価指数などでインフレの高止まりが確認された場合には、大幅な利上げが続くとの観測が一段と高まり、内外の株価がさらに下落する可能性もあるため注意が必要です。

◆長期金利 :0.25%付近での動きが継続

長期金利は日銀が上限とする0.25%付近での動きが続きました。10年国債入札はしっかりした結果となりましたが、新発10年国債の取引が成立しない日もあり、動意の薄い動きが続きました。FOMCで0.75%の大幅利上げ継続が決定されましたが、影響は限定的でした。来週は米消費者物価指数などを受けて米長期金利が不安定な動きになると、国内の長期金利も影響を受ける可能性があります。30年国債入札なども確認したいところです。

◆為替 :底堅い

11月のFOMCでは、0.75%の利上げが決定されました。パウエルFRB議長の発言では、今後の利上げペースの減速が示唆されたものの、利上げの最終的な到達水準は高くなった可能性があります。それを受け、米長期金利は上昇しており、ドル円は底堅い展開が見込まれます。とはいえ、150円を超えた水準では、政府・日銀のドル売り介入も想定されることから、当面は、上値も限られ、底堅い中、方向感を模索する展開となりそうです。

◆Jリート :押し目を探る

投資家心理が回復する中、東証REIT指数は1日には2,000ポイントを回復しました。ただ、その後は急ピッチで値を戻してきたことから利益確定売りが広がったことや、FOMCを受け、米長期金利が上昇したことを嫌気し、売りに押される展開になりました。米利上げペースの減速観測がやや後退しており、米長期金利が高止まりすると、上値を追う動きが弱まる可能性があります。もっとも、根強い押し目買いが市場を支えそうです。

来週の注目点

景気ウォッチャー調査(10月) 11月9日(水)午後2時発表

景気ウォッチャー調査の現状判断指数(DI)は、9月に前月差2.9ポイント上昇の48.4と、50を下回ったものの2か月連続で改善しました。ただし、家計動向関連が飲食関連を中心に上昇した一方、企業動向関連では製造業、非製造業とも低下しました。

10月の現状判断指数は、小幅な上昇が見込まれます。引き続き、消費活動の正常化に向けた動きが飲食関連などの景況感を押し上げるとみられます。ただ、円安などによる物価高が小売関連の景況感改善を抑制する見込みです。企業動向関連についても、資源高や円安によるコスト高が重しとなり、当面、景況感の伸び悩みが見込まれます。

米消費者物価指数(10月) 11月10日(木)午後10時30分発表

9月の米消費者物価指数(CPI)は、総合で前年比8.2%の上昇となり、市場予想を上回りました。また、変動の大きい食品、エネルギーを除くコアCPIも、同6.6%上昇と市場予想を上回り、1982年以来の大きな伸びとなりました。

9月は広範な分野で価格上昇がみられましたが、特に住居費、食品、医療の分野における前月比上昇が顕著でした。足元、原油などエネルギー価格はやや落ち着いていますが、今後も食品価格や住居費の上昇は続きそうです。10月は総合で前年比8.0%程度の上昇、コアは同6.6%程度の上昇を想定しています。

 

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