景況感と株価
今週の国内株式市場ですが、日経平均はこれまでのところ、上げ下げがやや荒っぽい展開となり、方向感に欠ける展開が続いています。
確かに、今週は国内外の企業決算だけでなく、米FOMCや米中の通商協議、EU離脱代替案の英国議会での採決など、とにかくイベントが多く、それぞれのイベントの結果や動向を受けて、全体的に見てポジティブなのかそれともネガティブなのかをプラスマイナスで差し引きしながら、相場が動かざるを得なくなっています。そのため、動きづらい展開になってしまうのは仕方がないのかもしれません。
そんな中、今週の29日(火)に日本政府が公表した1月の月例経済報告において、2012年12月から始まった景気回復が戦後最長となった可能性があると表明しました。このままの調子で1月を終われれば、景気の拡大期間は74カ月間まで伸びることになります。字面だけを素直に受け止めるのであれば、長期に亘って好景気が続いているため、普通は株式市場にとって追い風になるはずなのですが、実際にはこの話題はあまり材料視されていません。
確かに、「最長だけど最弱」、「イマイチ実感がない」、など、あまり好意的でない意見が多いのも事実です。実際に、期間中の実質成長率は年平均で1.2%と低く、個人消費はわずか2%の伸びにとどまっています。消費はGDPの約6割を占めており、「景気の回復が続く一方で肝心の消費が冴えない」わけです。その一因として、社会保険料や税などの負担が増え、可処分所得が抑えられていることなどが挙げられています。
また、これまでの景気を支えてきたのは、円安と財政支出を軸に企業業績が伸びてきたことによりますが、海外で稼いだ利益を国内の経済成長につなげられていないこと、そして、頼りの海外の景況感はピークアウトや減速が警戒されていることなどが不安視されています。
さらに、もうひとつのサポート役である日銀の大規模な金融緩和は、低金利による金融機関の収益圧迫をはじめ、リスクとリターンのアンバランスや株式市場の需給を歪めたことなど、副作用を心配する声が増えており、さらなる金融緩和へ動きにくくなっています。世界経済の減速が目立ちはじめれば日本株はその影響を受けやすくなると思われ、世界の景気敏感株としての先行きリスクは高まってきています。
そのため、現在の国内株市場は景況感を材料視していませんが、「今のところは良いのかもしれないが、いつまで続くか分からない」不安と、「日本経済はイマイチでも儲かっている日本企業の株は買える」という期待の狭間で揺れ動いているムードにさせていると考えられます。
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