「取り敢えず付いていく」相場は割り切りが肝心
今週の国内株市場ですが、大発会が先週末の金曜日(1月4日)と1日しか取引日がなかったため、今週からが実質的な2019年相場のスタートになります。
その大発会の日経平均は大幅下落となり、いきなり節目の2万円を下回ったものの、今週に入るとすぐさま回復しており、今のところ戻りを試すような動きとなっています。つまり、先週末と今週とでは相場の雰囲気に違いが生じている印象です。
そもそも大発会の日経平均が下落で始まったのは、昨年末に発表された中国の経済指標(製造業PMI[購買担当者指数])が、景況感の判断の分かれ目となる50を下回ったことや、米アップルが中国での不振を理由に売上高見通しを下方修正するなど、年末年始にかけて経済指標や企業業績に対する見方が悪化し、前日までの米中両国の株式市場が軟調だったためです。
また、昨年12月に見せた株価の急落は、米国を中心とする世界景気のピークアウトや企業業績の鈍化をはじめ、懸念材料(米中関係・欧州情勢・米政権運営など)の先行き不透明感を先取りした動きと考えられます。そのため、今後発表される実際の企業業績や景況感が先取りしたほど悪くなければ株価は上昇していくわけですが、いわば、2019年の相場がこうした不安の「先取り下落」の答え合わせをして行こうと思っていた矢先に、冴えない材料が飛び込んで来てしまったわけです。
ただ、すぐさまに株価が反発に転じたきっかけは、中国商務省が「米中次官級の貿易協議を近く開催する予定」と発表したことや、李克強首相が景気を支えるために、一段の金融緩和の実施を示唆する発言をしたことなどを受けて中国株市場が反発したことが挙げられます(その後、中国人民銀行が実際に預金準備率の引き下げを発表しました)。米国株市場でも、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が「状況によっては、金融政策の正常化を急がない」旨の発言をしたことが買いを誘いました。
日本株の反発もこうした流れに乗った格好ですが、基本的には「先取り下落」の答え合わせをしていく相場の見方に変わりはありませんし、また、株価反発のきっかけになった材料についても、米中摩擦の不安後退や金融緩和期待で相場が持ち直すという構図は既視感があります。
国内外の決算シーズンが本格化するにはまだ少し日があるため、しばらくはこの株価反発の流れに「取り敢えず付いて行く」のも良いかと思いますが、ガラリとムードが変わりやすい地合いであることに留意しつつ、割り切って対処することが必要な局面なのかもしれません。
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