リスクオンの賞味期限と潜む刺客
10月相場入りとなった今週の国内株市場ですが、日経平均はいわゆるバブル後の最高値を更新してのスタートとなりました。その後は伸び悩んでいる展開を見せつつも、24,000円台をキープし、堅調な推移が続いています。
9月上旬から始まった株高は、日本株の割安感が注目され、これまで大幅に売り越していた外国人投資家の買い戻しという需給的要因が加わって急ピッチな株価上昇を描いて来ました。もともとは海外株市場と比較した出遅れ感の修正的な株高だったと言えます。
割安度を示す指標として注目されるPER(株価収益率)を見ると、日経平均のPER(予想ベース)は、12.8倍から14倍近くまで高まっており、他国の株式市場とあまり変わらないところまで来ています。出遅れ修正は相対的な株高のため、そろそろスピード調整も意識されそうです。
さらに株高が進んで行くためには別の手掛かりが必要になってきますが、足元で進行している円安が業績の上方修正への期待を高めています。今月半ばから本格化する国内企業の2018年4-9月期決算発表が注目され、割安の修正から業績相場に移行できるかが年末相場に向けての焦点になると言えます。
直近の日本株や米国株などの株式市場の推移だけを見ると、米国経済の好調さや過度な利上げペース懸念の後退など、「米国ひとり勝ち」によるリスクオンムードを反映しているように映りますが、冷静に状況を整理すれば、貿易摩擦などの米中の関係は着実に悪化していますし、IMFなども世界経済の見通しを慎重に捉えていることなど、不安材料に対してはあまり見向きされなくなっている印象があります。
また、円安を背景にした業績上振れ期待の一方で、米中摩擦の影響だけでなく、原油価格の上昇や相次いで日本を襲った自然災害の影響などの足を引っ張る懸念が燻っていますし、さらに、現状のリスクオンが続いたとしても、投資資金が債券市場から株式市場に向かうことによって、債券安(米金利上昇)が進む可能性があり、景気にブレーキをかけたり、新興国からの資金流出が加速するシナリオも想定されます。
相場に対してしばらくは強気で良いと思われますが、その強気はいわば、「ご都合主義的な」リスクオンの上に築かれているため、ムードの急変には警戒しておく必要はありそうです。
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