株価の戻りの強さは「期間限定」か?

2018/04/20

今週の国内株市場ですが、日経平均は週初から続伸で始まる堅調な展開となり、18日(水)の取引では大きく値を伸ばして、ついに節目の22,000円台に乗せました。翌19日(木)も上昇して取引が始まっています。

 

振り返ってみれば、1月23日から始まった日経平均の下落トレンドは、3月26日の下げ止まりまで約2カ月間続き、その後はこれまでのところ順調に戻りを試す展開になっています。チャートを眺めても、下落トレンドにおける下げ幅の半値戻し(22,238円)や、75日移動平均線までの距離を埋め、まもなく本格化する国内企業決算を控えたこのタイミングで、これまで乗せきれなかった22,000円台に復帰できたことはかなりの好材料と言えます。戻り基調がこのまま続けば、「半値戻しは全値戻し」という相場格言があるように、強気の見通しが強まることになります。

 

株価上昇の背景には、米中の通商をめぐる衝突がひとまず回避されたことをはじめ、地政学的情勢(北朝鮮やシリア)の不安後退、軟調だった米ハイテク株の持ち直し、売り越しが続いていた外国人投資家が買いに転じる兆しを見せたことなどが挙げられますが、いずれも警戒感がひとまず落ち着いた格好に拠るものが多いです。ゆえに、さらなる株価の上昇には、再び警戒感が高まる可能性をにらみつつ、企業業績の追い風が必要になります。

 

もっとも、その企業業績は、足元の状況が良好であることは市場にほぼ織り込み済みであるため、今後の見通しがポイントになりますが、国内企業が期初に示す業績見通しは必要以上に慎重となる傾向があります。成長期待と鈍化の両面が意識されやすく、銘柄の選別が進み、「森よりも木を見る」展開となりそうです。また、米ハイテク株の業績見通しがカギを握る可能性も高いと思われます。

 

米ハイテク株は、フェイスブックによる顧客情報の流用問題をきっかけに売られる展開となりましたが、ザッカーバーグCEOの議会証言を境にして、株価は持ち直しはじめました。ただ、フェイスブックをはじめ、グーグルやアマゾンなどの企業は、大量の顧客属性や取引動向などのデータを背景にして広告で稼いできましたが、今後は広告やデータの保護規制が強まる可能性があり、広告による収益貢献度が落ち込む懸念があります。また、データ保護のための対策費用が膨らむことも予想されます。さらに、米ハイテク企業のビジネスは、グローバルに多くのシェアを有し、既存の事業機会を奪ってきた面があるほか、「大きく稼いでいるくせにロクに税金を払わない」といった不満の声もあるため、まだ楽観はできません。

 

そのため、株式市場が以前のように上昇基調に復帰するというよりは、「どこまで株価を戻すことができるか」がメインシナリオとして想定されます。また、目先の上値の目処は、先ほどの下げ幅の3分の2戻しに当たる22,868円が意識されそうです。

 

 

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