「政治の秋」始まる?
9月の権利またぎとなった今週の国内株市場ですが、日経平均は2万円台を維持した推移が続いているものの、ローソク足は陰線が多く、積極的に上値を追う展開にはなっていません。国内政治動向(衆議院の解散選挙観測)をきっかけにした株価浮上もひとまず一服した印象です。
当初は選挙期間中の株高が多いという経験則や、コレといった野党の受け皿がない状況下では与党が勝利する見込みが強く、株式市場は今回の衆議院の解散観測に対して比較的ポジティブに反応していました。ただ、ここに来て新たな政党が立ち上がるなど、これからのシナリオが次第に描きにくくなってきました。
新しい政党の代表が都知事を辞して国政に転身するのかなど、注目点はいくつかありますが、株式市場にとっては、勝敗はもとより、物色の手がかりとなる政策議論を深めることができるかが大事になってきます。
そもそも、前回の衆議院の総選挙は2014年12月14日に実施されましたが、その目的は2015年10月に予定していた消費税の税率引き上げ延期を決定したことに対して国民の信を問うというものでした。その後も、昨年6月に再延期を決めた際の直後に行われた7月の参議院選挙が国民の信を問う役割を果たしています。その結果、現時点での消費税の税率引き上げ(8%から10%)は2019年10月の予定です。
一方、今回の解散にあたっての会見で、安倍首相は「消費増税の税収分を幼児教育の無償化などに当てる是非を問う選挙」と発言していますが、直近過去の国政選挙とは違って、消費増税ありきの前提に立っていることが窺えます。新政党は消費増税に対して凍結の方針を出してきており、選挙の争点になりそうです。
また、これまでの消費税率の引き上げ延期決定は景気に配慮しての政権判断だったことを踏まえると、果たして予定通りに税率引き上げができるのか、仮にできなかった場合、今回打ち出した教育政策の財源はどうなるのかといった議論が高まりそうです。投開票日は10月22日となる見込みです。
税制と財源については、米国でも27日(水)に、トランプ米政権と共和党の議会指導部が約30年ぶりとなる大型税制改革案を公表し、話題となりました。法人税率の引き下げや企業の海外子会社から受け取る配当の課税廃止、溜め込んだ収益を本国に還流する際の課税減額などが盛り込まれており、この日の米株市場は好感されています。ただし、財源として当て込んでいるオバマケアの代替法案の採決に向けた調整が未だ難航しており、税制改革案の行く末はまだ判りません。米国議会の動向が注目されます。
来月(10月)は、3月期決算企業の上半期が終了し、年度の収益見込みがある程度掴める時期のため、企業業績が相場の材料になりやすいタイミングなのですが、国内選挙戦や米国議会の動向が注目されるほか、中国でも来月18日から共産党の党大会が開催される予定となっており、今年は国内外の政治情勢も放っておけない「政治の秋」になりそうです。
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