「インフラ投資」への警戒と期待
今週の国内株市場ですが、日経平均は2万円の大台を目前にして足踏みが目立つ展開が目立っています。足元の世界経済と一巡した企業決算は概ね堅調のため、再度2万円台をトライする可能性は残されていますが、5月18日(木)の取引は大幅安でスタートしました。にわかに相場に影を落としたのは、いわゆる「ロシアゲート」に対する警戒です。
米トランプ大統領がロシアとの不透明な関係について、FBI(米連邦捜査局)の長官を突然解任するなど、不当な介入をしたことがきっかけになっています。さらに、トランプ大統領による「イスラム国」(IS)に関する機密情報の漏洩疑惑の報道も登場しています。
今後の進展によっては、米トランプ政権の土台を揺るがす可能性もあり、そうなれば、トランプ氏の掲げる、インフラ投資などの財政出動や税制改革が後ろ倒しになってしまうシナリオが浮上することになります。こうした懸念を反映してか、足元の国内株市場で物色の中心になったのは、好決算の銘柄やディフェンシブ銘柄です。米国のインフラ投資への期待が警戒モードになっているわけです。
それとは対照的に、インフラ投資への期待が高まっているのは、中国の「一帯一路」です。一体一路とは、中国が標榜する「現代版のシルクロード経済圏」構想ですが、ちょうど今週の5月14日~15日にかけて国際会議が開催され、130以上の国と70以上の国際機関から1,000名を超える参加者が集った大規模なものとなりました。そこで、習近平氏は構想の実現に向け、基金の増額を表明するなど、積極的に推進して行く旨を強調しています。
2つのインフラ投資について、一方は懸念が高まり、もう一方は期待が高まる格好になった印象ですが、米国は「アメリカ・ファースト」による閉ざされたインフラ投資に対して、一帯一路は多くの関係国が関わるインフラ投資という面でも対照的であると言えます。世界経済への寄与という面では一帯一路の方が相場にとって好テーマになりやすいのかもしれません。
ただし、一帯一路についても、バングラディッシュで中国資本の提供を受けて建設した港に中国の潜水艦が寄港したり、建設した港自体が機能せずに新たな富を生み出していないといった事例も出てきており、結果的に中国の影響力だけが強くなってしまう、「チャイナ・ファースト」になる懸念も燻っており、その点については大いに注意が必要と言えます。
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