株価はこのまま上昇基調を辿るのか?

2017/04/28

今週の国内株市場ですが、大きく値を戻す展開が目立っています。日経平均の日足チャートを眺めてみると、週初の月曜日にいわゆる「窓」を大きく空けてスタートして25日移動平均線を回復、さらには75日移動平均線をも上抜けて、20日(水)の取引では19,289円と高値引けで終えています。値動きを辿ると最近までの下落を一気に取り戻すような格好に見えます。

 

その背景には、週末(23日)に行われた仏大統領選挙の1回目の投開票が、無難な見通し(中道系のマクロン候補が首位でルペン氏と決選投票に進むこと)になったことや、懸念されていた25日(火)の北朝鮮人民軍の建軍記念日での核実験や軍事事案の発生が回避されたことなどで安心感が広がったことが挙げられます。また、米国の好調な企業決算や、税制改革案への期待も株価上昇の支援材料になっているようです。

 

最近までの日経平均の下落は先月21日を境にはじまりました。この日の終値は19,455円だったのですが、翌22日は19,041円で取引を終えています。オバマケア代替法案を巡って米議会との調整が難航して、トランプ政権への期待が警戒に変わったことや、対北朝鮮への警戒が高まったことなどで、以降は下落基調に転じました。つまり、株価水準的には、下落に転じる前のところまで戻しつつある状況と言えます。

 

もっとも、国内株市場は週末から大型連休に入るほか、今年に入ってからの日経平均は何度となく、19,600円台の壁に阻まれていることからも、足元の株価上昇は一服しやすくなると思われます。米国でも、税制改革の方向性が示されましたが、その実現に向けての道のりや、財源を含めた財政問題も今後の課題となり、週末(28日)には米国政府暫定予算案の採択期限が到来します。地政学的にも依然として火種は燻っていますので、連休明け後も株価の上昇基調が続くのかが焦点になります。

 

米国では一部の経済指標で少し陰りを覗かせるものも出てきてはいますが、全体的には世界経済は概ね良好で、それに合わせて企業業績も堅調が見込まれています。ただし、朝鮮半島情勢や欧州政治イベントなどの不安材料が燻る中では、株価収益率(PER)が17倍を超える水準まで好景気・好業績を先取りして積極的に上値を買っていくのは難しく、「安いところで拾い、戻ったら売る」といった動きが中心となりそうです。

 

 

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