中国全人代を前に状況のおさらい
今週の国内株市場ですが、日経平均は19,000円台前半でのもみ合いが続いています。
国内の決算発表が一巡したほか、為替市場の円安一服など、手掛かり材料の決め手に欠けている相場地合いです。それでも日経平均は25日移動平均線より上をキープしていて堅調さは保っています。トランプ大統領の「驚くべき税制に関する発表」待ちや、来週28日の米国議会での演説を控え、様子見ムードが強い印象です。
来週といえば、月跨ぎで3月になります。3月の注目イベントのひとつに中国の全人代がありますが、今年の中国は秋に共産党大会も予定されており、政治的に重要な年になっています。
そのため、中国に対する基本的な見方は、「改革や抱えている問題に対処しつつ、経済を悪化させないために景気刺激策を打つため、安定的に推移する」というのが多いようです。確かに、GDPなどの経済指標を見る限りでは、足元の中国景気は落ち着いていると市場に受け止められています。
また、改革も順調に進んでいるように見えます。中国政府は2015 年末にゾンビ企業の整理を進める方針を打ち出しました。ゾンビ企業とは、業績低迷や債務増加が深刻で、回復が見込まれない企業のことです。こちらも中国上場企業(A株)におけるゾンビ企業の割合が、2015年は20%台だったのが、2016年は15%台にまで減少したという見方もあるようです。
こうした結果だけを見れば、中国に対する不安はかなり後退していると言えます。ただし、人民元を買い支えているために外貨準備高が減少傾向にあることをはじめ、先ほどのゾンビ企業の減少についても、当局の財政出動による景気浮揚策が過剰生産能力などの問題を一時的に緩和させている過ぎない面もあります。さらに、DES(デッド・エクイティ・スワップ、債務の株式化)を進める方針を打ち出しながらも、依然として中国企業の急速な債務拡大に警鐘をならす国際金融機関が多い状況です。
このように、結果ではなくプロセスに注目すると、「しばらくは大丈夫だろうが、いずれ良くない事態に陥るのでは?」という不安の火種が燻っていることになります。2017年は政治的イベントが予定されていることが支えとなり、不安が高まるとすれば2018年以降というのがメインシナリオですが、トランプ大統領政権下の米国との関係次第ではその時間軸が思ったよりも早まるかもしれません。
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