トランプ大統領との距離感
今週の国内株市場ですが、日経平均は軟調気味で推移しています。節目の19,000円台を下回ったところでは買いが入り、1カ月の値動きの中心線である25日移動平均線が意識されているような動きになっています。相場はまだ崩れていない印象ですが、週末の米雇用統計や来週の日米首脳会談を控えて様子をうかがっているように見えます。
トランプ米大統領が正式に就任してまもなく2週間が経とうとしていますが、この短い期間に矢継ぎ早に大統領令に署名しています。当初は政策実行への意欲を評価する向きもあったものの、先週末に、中東・アフリカ7カ国からの入国制限などを命じた大統領令が出たあたりから、雲行きが変わってきた格好です。
トランプ氏の大統領選挙戦での公約は実行して欲しいものとそうでないものとが混在していましたが、ここに来て後者に対する警戒が強まっているようです。足元でも、トランプ氏の口から米国第一主義や保護主義的な発言が飛び出し、日本に対しても名指しで円安誘導批判を繰り広げています。
とはいえ、トランプ氏のやろうとしている政策(財政出動や金融規制緩和、保護主義)は経済学のリクツの上ではドル高を招きやすいものになります。にも係らず、他国が通貨安を誘導していると批判しているわけですから、理論的に矛盾している部分が大きいと言えます。さらに、為替以外にも、トランプ氏の認識は経済にしても外交にしても、一昔前のものや、現実とずれているものが多く、情報や知識がアップデートされていないのではという指摘もなされています。
その一方で、同氏はビジネスマンであるが故に、有利な条件で交渉するため「わざと無茶振りや強気の態度をとっている」というポジティブな見方もあります。後者であれば対処の仕方もあるのですが、前者だった場合には今後も世界中が振り回されることになります。
まずは、前者と後者のどちらであるかを見極めること、そして、政権内もしくは司法・立法(議会)でトランプ大統領の暴走を止められる自浄作用が機能できるかがポイントになってきます。それまでは様子見にならざるを得ないといえますが、来週の日米首脳会談では、両国の密接な関係をアピールするよりも、微妙な距離感をとることが必要なのかもしれません。
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