「保護主義」のブーメラン攻撃
いよいよ今週末の20日にトランプ新大統領が正式に就任します。
日本時間では21日の深夜2時頃に就任式が開かれ、就任演説が行われます。先週11日の記者会見では、経済政策について深掘りした発言がなかったことや、保護主義色の強い主張があったこと、マスコミとの関係性など不安が残るものとなりましたが、果たして就任演説では、先週の記者会見のように警戒感や失望が高まるものとなるのか、それとも大統領選後の勝利演説のように「大人」な対応を見せるのか注目が集まります。
保護主義といえば、今週1月17日~20日にかけて開催されている世界経済フォーラム(WEF)の年次総会、通称ダボス会議で演説した習近平・中国国家主席の発言が話題となりました。その主な内容は、「経済のグローバル化は世界経済の成長に強力な力を提供した」、「貿易戦争では共倒れになる」、「明確に保護主義に反対する」などです。
タイミングがタイミングなだけに、トランプ氏が掲げる保護主義的な政策を牽制する格好となりました。トランプ氏は中国からの輸入製品に高い関税をかける旨の発言をしていることや、足元のドル高と米国金利上昇による中国からの資金流出と人民元安が懸念されていることもあり、中国の警戒意識の表れとも言えそうです。中国の国家主席がダボス会議に出席するのは初めてです。
また、習近平氏の演説では、中国の経済政策について、「門戸を開き続け、自由貿易協定(FTA)締結を強化する」、「人民元を切り下げることで通貨競争を起こすような策はとらない」とも明言しています。さらに、中国経済が下押し圧力に晒されているという認識を示し、改革を進めてリスクを回避していく姿勢を表明しました。
とはいえ、その中国自身も保護主義的な政策をとっている面があります。中国に進出する外国企業は当局から様々な規制やルールなどで束縛されるほか、当局による中国企業に有利な関与など、経済活動の自由化が進んでいるとは言えません。
その中国から米国を見据えた保護主義への批判が出てきたというのは不思議な感じがしますが、後になって「お前が言うなよ」とブーメラン攻撃にならないよう、このダボス会議での宣言通り、中国は改革を進めて行かなくてはならないのかもしれません。
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