反発を見せた国内株の上昇は続く?

2016/04/15

今週の国内株市場は先週の冴えない展開から一転、戻りを試しに行く展開が目立っています。日経平均も16,000円台へと水準を大きく切り上げています。円高の一服、増産凍結への期待で原油価格が反発していること、中国経済への過度な不安が後退していることなどを背景として、リスクオフムードが修正されるような動きです。

とはいえ、現時点ではあくまでも高まっていた不安が和らいだだけであり、積極的に上値を追って行く展開が想像しにくい状況と思われます。直近の日経平均の安値は4月8日の15,471円です。4月13日の終値が16,381円ですから、むしろ、わずか3営業日で約900円上昇したことの方が驚きです。リスクオフ後退とはいえ、原油価格や為替(ドル円)相場はそこまで大きな動きを見せていません。日本株を買っているのは誰なのかという点で、東証が毎週公表している「投資部門別売買動向」が注目されそうです。

いわゆる「アベノミクス相場」の最大の牽引役は外国人でした。外国人は2013〜14年のあいだに、日本株を約16兆円買い越したと言われています。そして、これに合わせる格好で為替ヘッジの円売りを行い、株高・円安が同時進行してきたのですが、投資部門別売買動向を見ると、今年に入って外国人は売り越しが続いています。外国人の売り越し額は6〜8兆円との見方が多いですが、これまでの買い越し額からすると、まだ売り余力はあると考えた方が良さそうです。足元の相場はこうした外国人の売りを年金資金がカバーしてきたと思われます。

外国人売りの背景には、アベノミクスへの期待が剥落したのではという見方があります。成長戦略を始め、規制改革やTPPも進まず、逆に、公共事業の上期8割の前倒しや低所得者への還付金など「ばらまき」政策の方が目立っています。ドル円相場が日銀の「黒田バズーカ」前のレベルに戻ってしまったことも指摘されています。

ただし、短期には上振れる可能性はありそうです。目先の日経平均の上値メドとして25日移動平均線や75日移動平均線が意識されそうですが、4月13日時点で16,500円〜16,800円の水準です。実はこの2本の移動平均線の距離間が狭くなりつつあります。ここを長いローソク足で上抜けると、いわゆる「2本抜き」の格好となり、買いサインとされています。この場合、17,000円台を突破して株価水準がもう一段切り上がるシナリオが浮上してきます。しかし、中長期的には「敢えて日本株を買う」材料に欠けているため、このまま上昇基調を辿り続けるというシナリオは描きにくく、上昇の賞味期限はあまり長くはなさそうです。

 

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