トランプ・トレードを見つめ直す「頭の体操」

2024/11/15

今週の国内株市場ですが、日経平均はこれまでのところ、株価の上昇が一服し、「次の展開」をうかがうような展開となっています。

米国株市場に目を向けても、主要3指数(NYダウ・S&P500・NASDAQ)が最高値圏を維持しつつも、上値の重たさが感じられる株価推移となっています。先週の米大統領選でのトランプ氏勝利によって沸き上がった株価の上昇がひとまず一服しつつあるような印象です。

いわゆる「トランプ・トレード」は、株式市場が減税や規制緩和による景気刺激効果などのポジティブな面を反映する一方、債券市場では10年債利回りが上昇するなど、こちらは政策実施に伴う財政悪化やインフレ再燃懸念といったネガティブな面が反映されている格好です。

つまり、株式市場と債券市場で「見ている景色」が異なっているわけですが、通常の場合、株高と金利高が併走する状況は続かないため、今後の金融市場は、トランプ氏および政権運営の概況によって、ポジティブとネガティブとのあいだで揺れ動きながら相場の方向感を探る展開が続くことが想定されます。

とはいえ、米国市場の経験則として、新政権発足から100日間は「ハネムーン期間」として、政権が軌道に乗るまでにある程度時間がかかることを前提に、メディアなどが政権に対して過度な批判を避ける傾向があるため、全体的な相場地合いはややポジティブに傾きやすくなります。

逆を言えば、100日間のあいだに、トランプ政権は何らかの実績や、今後の期待感を示す必要があるわけです。となると、トランプ氏が掲げる政策が、「どのような順番で動きを見せるか?」へと注目が集まっていくことになり、ここからのトランプ・トレードも見つめ直す必要が出てきます。

まず、目玉政策である「減税」については、トランプ減税の恒久化や法人減税といった法案を議会で通過させる必要があるため、本格的な議論が始まるのは、2026年度予算の審議が始まるタイミングとなる夏場あたりが想定され、政策実行の時間軸としてはまだ先になります。

また、もうひとつの目玉政策である「関税強化」についても、手続等に時間が掛かるため、実行に移されるまでには結構な時間が掛かります。そして、実施の方法自体も、相手国との交渉取引(ディール)や駆け引きを経ながら段階的に行われる可能性が高く、トランプ氏の発言や、ディールの動向などに振り回される期間が長くなりそうです。

そのため、手っ取り早く手を付けられて、実績作りができそうな政策としては、不法移民対策や外交面(ウクライナや中東地域)、エネルギー産業の規制緩和やパリ協定からの再脱退などが考えられます。

そもそも、経済指標などのデータから、現在の米国経済は堅調とされていますが、「景気が悪くないのに減税を行うことでインフレが再燃しかねかいか?」といった視点も、減税策の実施に影響を与えることになると思われます。したがって、相場の材料として、再び景況感や企業業績への注目度が高まって来ることが想定されます。

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