「あっさり勝敗が決した米大統領選 株式市場の「お祭り」はいつまで続く?」

2024/11/08

世界中が注目した米大統領選挙が11月5日(火)に行われました。

当初は大接戦も予想され、結果が確定するのに時間が掛かるとの見方もあったのですが、いざ蓋を開けてみれば、共和党候補のトランプ氏が思ったよりも早い段階で勝利が濃厚となり、大統領選と同時に実施された議会選挙も、上院・下院ともにやはり共和党が過半数を占める勢いとなっており、いわゆる「トリプル・レッド(共和党が大統領と両院を占める)」が見込まれています。

こうした状況を受け、株式市場は半ば「お祭り」状態で上昇する初期反応を見せました。開票動向が随時報じられていた6日(水)の国内株市場では、日経平均などが大きく上昇しはじめ、先物取引市場でも、ナイトセッション入りした17時半前に日経225先物(大取の中心限月)が、4万円台に乗せ、40,170円まで値を伸ばす場面がありました。

その後にオープンした米国株市場でも主要株価指数が大きく上昇、NYダウ・S&P500・NASDAQが揃って史上最高値を更新しました。トランプ氏が掲げる減税や規制緩和などの「マーケット・フレンドリー」な政策期待や、大統領選挙があっさりと勝敗が決し、イベント通過によるアク抜け感も買いを誘ったと思われます。

株式市場では、トランプ氏の勝利を織り込む「トランプトレード」が選挙前の先月半ばあたりから始まっていたこともあり、達成感などで売りが出てくることも想定されていたのですが、実際のマーケットの初期反応はさらに上値を伸ばす格好となりました。

ただし、こうした株式市場のお祭り騒ぎは長続きしないかもしれません。債券市場に目を向けると、米10年債利回りが4.4%台に乗せるなど、金利が上昇しています。株式市場はトランプ氏の政策のポジティブな面を反映しましたが、債券市場の方は、関税強化や移民政策、財政出動による財政赤字懸念、インフレ再燃警戒など、ネガティブな面が反映されたと思われます。

基本的に、株高と金利高が併存する状況は継続しにくいため、市場のスタンスはどちらかによっていくことになります。6日の欧州株市場がトランプ氏の政策を警戒して下落したほか、7日(木)の日経平均も上昇スタート後に下落に転じていることもあり、株式市場の上値余地は限られてしまう可能性があります。

そして、今後はトランプ氏がどこまで政策を実行していくのかを見極めて行くことになりますが、トランプ氏の大統領就任は来年1月のため、それまでは同氏の不規則かつ予測不能な発言等に市場が振り回される場面が増えて行くことになりそうです。

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