『米FOMC後に上昇で反応した日本株は強いのか?』
日米の金融政策イベントが注目される今週の株式市場ですが、そのうちのひとつである米FOMC(連邦公開市場委員会)の結果を受けて取引が始まった19日(木)の日経平均は上昇で反応し、37,000円台に乗せる動きを見せています。
FOMCでは、0.5%の利下げが決定され、FRBメンバーの金利見通し(ドット・チャート)でも、年内にあと0.5%の利下げ、来年(2025年)には1%の利下げを見込んでいることが示されました。
こうした結果に対する米国株市場の反応をNYダウの分足(1分足)チャートで確認すると、結果が公表された日本時間午前3時直後のNYダウは大きく上昇し、400ドル近く上昇する場面を見せたものの、以降は200ドル近い値幅での乱高下を繰り返し、結局、前日比マイナスで取引を終えています。為替市場についても、公表直後に1ドル=142円前後から、140.50円まで円高が進みましたが、30分後に開催されたパウエルFRB議長の記者会見が始まったあたりから、円安方向へと舵を切っていきました。
そのため、FOMCを受けた日米株式市場の初期反応をざっくり整理すると、米国株市場では、直近のNYダウやS&P500が最高値圏にあったため、イベント通過によるいったんの利益確定売りが優勢となり、日本株市場については、円高が進行しなかったことによる安心感で買いが入ったと思われます。
また、今回のFOMCの結果について、市場の受け止め方は現時点でまだ方向感が定まっていないと思われます。テクニカル分析的にも、日経平均の日足チャートを見ると、前日比で大きく上昇しているものの、25日や200日移動平均線を積極的にトライするほどの勢いはなく、中長期的なトレンド見通しに変化をもたらすほどではないような印象を受けます。
実際に、今回の0.5%の利下げ幅については、米国景気に対する見方が、「想定以上にしっかりしている派」と「思ったよりも悪くなっているのでは派」に分かれている現状からすると、その受け止め方も、ポジティブとネガティブに分かれてしまいます。パウエル議長の記者会見では、米国経済の堅調さや、インフレよりも雇用の安定に軸足を移す姿勢、そして、予防措置的な意味合いの利下げであることが強調されていましたが、次回のFOMCが11月6日から7日と、米大統領選挙(11月5日)直後であることを踏まえると、「FRBの対応が後手に回りたくない」という思惑も見えてきます。
いずれにしても、FOMCを受けた日経平均の上昇は為替の円高一服によるところが大きく、FRBの利下げサイクルが「始まったばかり」であることを踏まえると、為替面では再び円高に動く展開も考えられるため、日経平均38,000円からの上値を試すにはハードルがまだ高いと言えそうです。また、FOMC通過後も、米国の景況感次第という状況に変わりはなく、今後発表される経済指標に一喜一憂する展開が続くことが想定されます。
次の焦点は約1カ月後に本格化する企業決算シーズンになるかと思われますが、米国だけでなく、中国の景気も怪しい中では、企業業績に対する期待感を先取りする動きも見込みにくく、株式市場は、「値動きが荒い割に方向感が出にくい」展開がしばらく続いてしまうのかもしれません。
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