日本株の優位性は変わらずも、米中景気には注意
今週の国内株市場ですが、これまでのところ、日経平均はもみ合いながらも節目の33,000円台を維持する展開が続いています。とりわけ、21日(水)の取引では、前晩の米国株市場が下落していた流れを受け、日経平均はマイナススタートだったのですが、その後はプラスに切り返して前日比186円高まで上昇して終えるなど、日本株の基調の強さがうかがえます。
確かに、国内商社株の保有比率拡大で「バフェット発言効果」が再び脚光を浴びたほか、国内金融政策の緩和的姿勢の継続、アジアにおける日本株の運用割合を高める動き、比較的マイルドなインフレ進行、低PBR改善をはじめとする国内企業の構造改革期待など、足元の日本株が買われている環境を見ると、他の株式市場と比べて相対的な優位性がありそうです。
もっとも、今週について言えば、株価が一日の取引時間中に、マイナスからプラス、プラスからマイナスへと慌ただしく動く展開が目立っており、結果的に堅調ではあるものの、実際の相場では、株価指数の値動きで投資タイミングを図るには難易度が高くなっています。とはいえ、日経平均が33,000円水準を維持しているあいだは一段高への期待も残ると考えられ、引き続き買いの強さが試されることになりそうです。
そんな中で気を付けておきたいのが米中の景況感です。米国については、先日のFOMCで利上が見送られたほか、直近で発表された経済指標の結果を受けて、米国株市場は景気減速の「ソフトランディング」シナリオを前提に動いている印象があります。ただし、昨年からあれだけの急ピッチな利上げを実施してきただけに、このまま穏便に事態が進むとは限らず、今年の3月には米金融機関の破綻騒ぎが引き起こされています。
また、米金融政策の引き締めによる景気減速懸念が昨年からずっと燻っている割に、景況感が崩れないのは、異例の規模の金融緩和で溢れたマネーが、利上げによる景気への効果を打ち消している面があります。コロナ禍の時に実施された、金融緩和と財政出動によって、FRBのバランスシートは4兆ドルから9兆ドル近くまで倍増しており、現在のバランスシートもまだ8兆ドル以上ありますが、今後もQT(量的縮小)による引き締めで2025年中に6兆ドルまで縮小することが見込まれていることを踏まえると、これから徐々に引き締め効果が表れてくることが予想されます。
また、中国についても、金融当局が今週20日(火)にローン・プライムレート(LPR)における1年物と5年物の金利引き下げを発表し、実質的に約10カ月ぶりの利下げを実施しています。発表直後の株式市場は上昇の初期反応を示したものの、その後は、利下げをしなければいけない中国景気の状況を懸念する見方が強まって売り材料へ転じました。ゼロコロナ政策を解除した直後は、大復活も期待された中国景気ですが、現時点では思ったほど回復していない点には注意が必要です。
まもなく6月相場も終盤戦に差し掛かりつつあります。7月半ばからは決算シーズンを迎え、国内企業の業績は米中景気の影響を少なからず受けるため、来月は企業業績の動向が相場の行方を左右しそうです。さらに、6月から電気料金やガソリン価格など国内物価の多くが上昇しており、次回の日銀会合でのインフレ認識も焦点になるかもしれません。そのため、今後も日本株の優位性を続けるには、企業業績が結果を示すことと、国内インフレが安定的であることが必要になると思われます。
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