来週の金融市場見通し(2025年7月14日~2025年7月18日)

2025/07/11

■来週の見通し

トランプ米大統領は8月1日から日本に25%の相互関税を新たに適用すると明らかにしました。また、トランプ氏は海外から輸入する銅と銅製品に50%、医薬品には猶予期間を設けたうえで200%の追加関税を課す方針を示しました。関税引き上げが米国の物価上昇につながるとの観測も浮上しています。来週は、トランプ政権の動向や米連邦準備理事会(FRB)高官の発言、また日米の消費者物価指数(CPI)などを確認しながら、20日の参院選を待つことになりそうです。

 

◆株価 :関税政策を受けて、荒い動きか

今週の日本株は、上値の重い動きとなりました。トランプ大統領が日本に8月1日から25%の相互関税を課すと発表したことが重しとなりました。

来週は、トランプ政権の関税政策を受けて、荒い値動きとなる恐れがあります。今週に入り、トランプ大統領は相次いで日本を含む貿易相手国に8月1日から高関税を課すことを通知しました。また、同大統領は現在10%となっている相互関税の基本税率を引き上げる可能性に言及しました。これらの関税措置が実際に実施された場合、世界経済を一段と下押しすることが予想されます。各国との貿易交渉が進展すれば、実際には課税されない可能性はありますが、景気悪化懸念から一時的に株式を売る動きが強まる恐れがあり、警戒が必要です。

 

◆長期金利 :一進一退

今週は、参院選で野党が訴える消費税減税などが実現すれば財政が悪化するとの懸念が広がり、超長期債の売りが増えたことや、米関税政策が米国のインフレにつながるとの見方から米金利が上昇したことなどから、長期金利は一時1.505%まで上昇しました。ただ、その後は20年国債入札が投資家から一定の需要が集まる無難な結果となったことから、若干ながら上昇幅を縮小しました。

来週は、米国のインフレが意識され、FRBの利下げが遠のくとの見方や、国内では財政悪化への警戒もくすぶり、米金利とともに国内の長期金利も低下しにくい状況が続きそうです。もっとも、超長期債利回りの上昇が一服していること、長期金利が1.5%を超えると押し目買いも入ることから、金利上昇も限定的とみられます。参院選も警戒しながらの動きになりそうです。

 

◆Jリート :底堅い展開か

今週のJリート市場は、長期金利が上昇する中、東証REIT指数(配当なし)1,800ポイント付近では戻り売りに押されて下落したものの、週後半は底堅く推移し、下げを埋めました。今週末の分配金利回りは4.873%(東証上場REITの予想分配金利回り、QUICK算出)でした。

来週は、日米長期金利の動向や日米貿易協議の動向をにらみつつ、底堅い展開を見込んでいます。日米貿易協議では相互関税の上乗せ部分の停止期限が8月1日に延長されており、新たな停止期限までに何らかの合意点を見出せるのか注視したいところです。来週も節目となる東証REIT指数(配当なし)1,800ポイント付近では一定の戻り売りが出ることが想定されますが、5%近い予想分配金利回りに着目した一定の買いが引き続きJリートを下支えすることが期待されます。

 

◆為替:ドル高・円安余地を探る展開

今週のドル円相場はドル高・円安が進行しました。トランプ米大統領が8月1日から日本に対し25%の追加関税を課すと発表したことで、円安の動きが加速しました。その後は、方向感を欠く動きが続きましたが、カナダに対する35%の追加関税の発表を受けて、米国の物価上振れ懸念などから、1ドル=147円台までドル高・円安が進行しました。

来週のドル円相場はドル高・円安余地を探る展開が予想されます。米CPIで関税によるコストを価格転嫁する動きが確認されると、FRBの利下げ観測が後退する可能性があります。日米通商交渉が進展しない限り、日銀は当面、様子見姿勢を続けるとみられることから、円高圧力は限定的とみられます。

 

◆米国株 :関税政策を受けて、荒い動きか

今週の米国株は、上値の重い動きとなりました。トランプ大統領が日本や韓国などの主要な貿易相手国に8月1日から高関税を課すと通知したことが重しとなりました。半導体関連株は、エヌビディアやブロードコムが史上最高値を更新するなど底堅い動きとなりました。

来週は、トランプ政権の関税政策を受けて、荒い値動きとなる恐れがあります。今週に入り、トランプ大統領は相次いでカナダなどの主要貿易相手国に8月1日から高関税を課すことを通知しました。また、同大統領は現在10%となっている相互関税の基本税率を引き上げる可能性に言及しました。各国との貿易交渉が進展すれば、実際には課税されない可能性はありますが、景気悪化懸念から一時的に株式を売る動きが強まる恐れがあり、警戒が必要です。

 

 

来週の注目点

全国・消費者物価指数(6月) 718日(金)発表

5月の全国・消費者物価指数(コアCPI、生鮮食品を除く総合)は前年比3.7%上昇と前月(同3.5%上昇)から伸びが拡大しました。政府による電気・ガス代の補助金が一旦終了したことが、電気・ガス代を押し上げたほか、食料品価格の伸びの拡大が続きました。

6月のコアCPIは伸びが減速する見込みです。食料品価格の高い伸びが続くと予想されるものの、政府によるガソリンの定額補助金などを受けて、エネルギー価格の伸びが縮小する見込みです。

米消費者物価指数(6月) 715日(火)発表

米消費者物価指数(6月) 7月15日(火)発表

5月の米国の消費者物価指数(CPI)は、総合指数が前年比2.4%上昇と前月から加速しました。変動の大きい食品、エネルギーを除くコア指数は同2.8%上昇と伸びは横ばいとなりました。サービス価格の伸びが鈍化傾向にあるほか、トランプ政権による関税引き上げのコスト高を販売価格に転嫁する動きは限定的でした。

6月のCPIは、総合指数が前年比2.6%、コア指数が同2.9%程度の上昇が予想されます。関税引き上げの価格転嫁が進展することで、財品目を中心に価格が上昇することが見込まれます。

 

 

 

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