「打たれ強さ」を見せる株式市場はさらに上を目指せるか

2022/11/18

今週の国内株市場ですが、日経平均は16日(水)の取引終了時点で28,028円、翌17日(木)の取引では27,952円でスタートするなど、これまでのところ節目の28,000円台の攻防となっています。先週末11月11日の取引時間中につけた高値(28,329円)からは下げてはいるものの、比較的堅調に値を保っていると言えます。

また、先週公表された米10月CPI(消費者物価指数)をきっかけに株価が急上昇した米国株市場についても、NYダウの34,000ドル台やS&P500の4,000ポイント台をうかがう場面があったほか、NASDAQも50日移動平均線からの上放れを明確にしています。

さらに、先週の米10月CPIに続き、今週発表された米10月PPI(卸売物価指数)もインフレのピークアウト感を示す結果だったことや、米小売大手のウォル・マートの決算内容が好感されたことも追い風となったようです。

その一方で、取引時間中に上値をトライしながらも、引けにかけて失速する動きが続いている場面が多い点は気掛かりです。とはいえ、株価急騰による利益確定売りや株価の節目に差し掛かった戻り待ち売りをはじめ、FRB(連邦準備理事会)要人によるタカ派の牽制発言、暗号資産交換所大手のFTXの破産申請、ポーランドに着弾したロシア製ミサイルをめぐる地政学的な緊張の高まりなど、売りが加速してもおかしくないネガティブな材料もあったことを踏まえれば、全体的な日米の株式市場は「打たれ強さ」を見せていると言えます。

「株価は不安の崖を駆け上がる」という相場格言が表しているように、確かに多少の不安要素があるぐらいの方がちょうど良いのかもしれませんし、この時期の株式市場は上昇しやすいというアノマリー(経験則)もあるのですが、格言にある「不安の崖」が意味するのは、一般的に「想定されるリスク」を指します。であれば、先ほどのFTXの破綻申請や地政学的な材料については、リスクというよりも不確実性の面が強く、今後の動向次第では無視できない売り要因となる可能性があります。

さらに、初期反応で好感されたウォル・マートの決算についても、EPS(1株あたり利益)が市場予想を上回ってはいますが、生活必需品の販売増が他の商品の売上減少を補ったことや、これまで同店舗に足を運ばなかった高所得層の購買が増えていたことなどが背景にあり、「収益は確保したものの、消費意欲が減退している」兆候も見られます。実際に、ウォル・マートに続いて発表されたターゲット決算では業績見通しが下方修正され、まもなく年末商戦を迎えるタイミングの中、消費関連銘柄の動きが不安定になることも考えられます。

足元の株式市場は散発的に強い動きを見せそうですが、市場がネガティブな材料に対して少し鈍感になっているかもしれないことは想定しておく必要がありそうです。

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