日経平均の「空白地帯」への意識

2022/07/08

今週の国内株市場ですが、これまでのところ方向感に欠ける展開となっています。先週末に26,000円台割れとなった日経平均は、週初の7月4日(月)にすぐさま回復したものの、そこからの上値が伸ばせず、26,000円台前半でのもみ合いが目立っています。

前回のコラムでも触れたように、足元の相場はインフレの動向やそれに伴う国内外の金融政策への思惑、そして景気への影響という「三つ巴」の構図でムードが揺れ動く状況が続いています。今週末の米雇用統計や、来週の米CPI(消費者物価指数)、そして日米の決算シーズン到来を前に、様子をうかがっている印象のほか、週末に集中している上場投資信託(ETF)の分配金捻出のための売りが一部で警戒されていることも影響しているかもしれません。

かといって、現時点の日経平均は下値を崩すような動きにもなっていません。3月9日の安値(24,681円)を除き、今年に入ってからの日経平均は大体26,000円割れのところで買いが入って底を打つ場面が多くあります。テクニカル分析的に見ていくと、24,000円から26,000円の価格帯は取引量が少なく、株価の「空白地帯」となっています。

株価チャート過去に遡ると、2020年2月から3月のいわゆる「コロナ・ショック」で下落する前の日経平均は24,000円台を何度かトライするもみ合いとなっていたのですが、ショックから立ち直った日経平均はこの24,000円水準から2021年2月の30,000円台超えまで一気に6,000円ほど上昇していきました。30,000円台をつけてからは、2022年1月までのあいだに概ね28,000円から30,000円の価格帯で推移し、その1月下旬に28,000円台を下抜けてからは、現在に至るまで26,000円から28,000円の価格帯で推移しており、一気に上昇してきた6,000円の空白地帯を、時間をかけながら段階的に埋めに行くような動きを辿っているようにも見えます。

もちろん、26,000円台が今後も株価の下値サポートとして機能する可能性はありますが、来週からは、先程も述べたような米経済指標の発表をはじめ、日米企業の決算発表が本格化するなど、「ヤマ場」を迎えることになります。株価の本格的な上昇が続いていくためには、(1)インフレが早期に落ち着きそう、(2)景気が「後退」ではなく「減速」で済みそう、(3)企業業績の落ち込みも限定的になりそうなどの面で自信を深めていくことが必要になります。

企業業績次第では株価の大幅回復も期待できるなど、当面の方向感を決めることになりそうですが、インフレには地政学的背景や供給網のボトルネックなど、金融政策でコントロールできない要素があるほか、インフレと景気のスピード感が焦点になっているあいだは振れ幅の大きい展開が続きそうです。

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