年内の株式市場の行方は「次に来る株価下落」の要因次第?
先週からの流れを受けて、国内外の株式市場は戻り基調を描いています。3月23日(水)取引終了時点の日経平均は、7日連続で上昇したほか、28,000円の大台乗せも達成しています。さすがに連騰が続いていたこともあって、翌24日(木)の取引は売りに押されるスタートとなりましたが、2週間ほど前には25,000円割れの場面があったことを踏まえると、株式市場は大底を打ったという見方が強まってきた印象です。
そこで、先週からの株高要因を整理してみると、(1)原油価格の下落、(2)直近までの株価の下げ過ぎの反動と割安感、(3)円安の進行、(4)ウクライナとロシアの停戦交渉への期待、(5)国内の新型コロナウイルスの規制緩和、(6)米FOMCを無難に通過したアク抜け感、(7)市場寄り(?)へと舵を切ったと受け止められた中国の経済政策の方針など、かなり多くの材料が重なったことが株価上昇につながったと考えられます。ただし、これらのうち、継続的な株高に寄与するものは多くはなく、中には相場の重石に転じかねないものもあります。
そのため、今後の相場の焦点になるのは、「どこまで株価が上昇できそうなのか?」と、「再び下落して底打ちを確認しに行く可能性はあるのか?」の2つになります。
日経平均の動きをテクニカル分析で捉えると、冒頭でも述べた通り、28,000円台乗せの場面が見られたほか、週足チャートでは13週(3カ月)移動平均線や26週(6カ月)移動平均線などの中期の値動きの中心線あたりまで値を戻しており、ここから先の株価上昇には、新たなリスクオンの材料が必要になるほか、直近までの株価下落で増加していた売り方の買戻しが一巡するタイミング、27,000円~28,000円の価格帯は、昨年の日経平均が下げ止まっていた「下値ゾーン」のため、利益確定売りや戻り待ち売りをこなす買いの強さが試されることになります。
さらに、日足チャートを眺めると、3月9日の安値から3月23日の高値まで、わずか10営業日で3,375円ほど上昇させていたことが分かります。これは、年初来安値から一気に年初来高値を更新しに行く動きを見せた昨年8月20日安値から9月14日高値までの動き(18営業日で3,841円上昇)よりも早いペースですので、目先は過熱感が出て、売りに押される場面が増えそうです。
もちろん、「不安の崖を駆け上がる」という相場格言があるように、短期的には一段高もありそうですが、しばらくは株価の落ち着きどころを探る値動きが基本的なシナリオとして想定されます。
ただし、次の株価下落の要因が、原油価格の再上昇や米金融政策の動向など、すでに想定可能なものであれば問題ないのですが、それ以外の要因がきっかけとなった場合には注意が必要かもしれません。例えば、ウクライナ情勢の長期化懸念が燻る中、中国の「中立ではあるものの、ロシア寄り」という曖昧な姿勢が西側諸国の経済制裁の対象として浮上してきた場合、そのネガティブインパクトは大きいものになることが考えられます。
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