米国の追加経済政策と米中関係
いわゆる「月跨ぎ」で4月相場入りとなる今週の国内株市場ですが、月末の31日(水)までの日経平均は25日移動平均線を挟んで様子をうかがう展開でした。
というのも、米国では週末に雇用統計が控える中、2兆ドル規模といわれている再追加経済政策の具体的な内容待ちや、足元で相場を賑わせた「アルケゴス・キャピタル・マネジメント」についても議題に上るとされる米金融安定監督評議会(FSOC)が開かれること、そして、日本でも日銀短観の発表や、日銀のETF買い(今後の買い入れはすべてTOPIX型にする)の運用が開始されるなど、多くのイベントの通過待ちとなっています。
そして迎えた4月1日(木)ですが、日経平均は一段高で取引をスタートさせました。米追加経済政策発表による米国市場の反応(時間外を含む)が概ね堅調で波乱がなかったこと、日本市場の取引開始前に公表された日銀短観では、大企業製造業の景況感(DI)が、コロナ前の状況に回復したことなどが好感された格好です。とりわけ、米追加経済政策発表後の米株市場の反応が国内市場にも安心感をもたらしたと思われます。
政策の内容や規模、そして財源確保のための増税計画など、発表された内容はほぼ事前の予想通りだったのですが、NYダウについてはひとまずの材料出尽くしによるそこそこの利益確定売り、NASDAQについては、米金利が上昇したにも係わらず、半導体の供給網の強化やハイテク分野の研究開発強化の方が好感されて力強い上昇を見せました。テクニカル分析的には、今回の株価上昇で75日移動平均線を回復したNASDAQの今後の強さが試されることになりそうです。
米国が打ち出した今回の経済政策は、バイデン大統領が述べているように、「中国との競争に打ち勝つ」という部分が強調されていますが、米議会では今回の政策を議論するにあたり、与野党を問わず反対の声が予想されています。とりわけ、今回の政策の財源として、法人税の引き上げなどの企業増税で賄うというやり方は、法人税を引き下げてきたこれまでのやり方とは180度の方向転換でもあるため、反対の声は大きそうです。それを超党派で賛同が得られやすい対中国政策の側面を打ち出して乗り切ろうとする思惑が感じ取れます。
今後の株式市場はこの経済政策を可決できるかといった動向に左右されることになるわけですが、製造業を中心に企業業績が回復していることが示された日銀短観に話を戻すと、日本企業はコロナ禍からいち早く復調を見せた中国経済の恩恵を大きく受けている面があります。そのため、次第に明確になりつつあるバイデン政権の対中政策の姿勢が協調というよりは対立に近いイメージに近づきつつあり、注意を払う必要がありそうです。
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