好調な株式市場の裏で燻り始めた火種
12月相場入りとなった今週の国内株市場ですが、日経平均は長期的なテクニカル分析の節目としてみられてきた、バブル最高値(38,957円)からバブル後最安値(6,994円)までの下げ幅に対する61.8%戻しの水準(26,747円)を上抜ける場面を見せるなど、引き続き強さを見せつけています。
とはいえ、日経平均は10月末の22,944円から約1カ月で3,500円以上も駆け上がってきただけに、上値トライの勢いはさすがに落ち着き始めているようにも感じられます。
これまでの株価上昇の主な原動力として、①米大統領選挙通過、②新型コロナウイルスワクチンへの期待、③追加金融緩和への期待、④日本株に対する再評価などが挙げられ、これらを背景にして、⑤売り越しが続いていた海外投資家が買い戻しに転じたことが上昇を加速させた格好ですが、①については新政権の陣容もある程度判明し、不安が後退していますし、②については米国で近日中にワクチンの緊急使用が承認されて、接種の実施が目前になっています。
③については再来週に米FOMCが行われるほか、⑤については来週末のメジャーSQで需給的な節目を迎えるなど、④以外は材料出尽くし感が出始める時期に入ろうとしており、株価上昇の一服もしくは調整が始まってもおかしくはない状況なのかもしれません。今後の焦点は株価が下げる局面において、どの株価水準で押し目買いが入るのかへと移っていきそうです。
また、その一方で、新たな不安の火種も燻り始めています。
中国では12月1日に「輸出管理法」というのが施行されました。これにより、中国は戦略物資などの輸出管理を強化する目的で、「安全保障などを理由に」特定の外国企業への輸出を禁じることが可能になります。米国を念頭に置いている意図が透けて見えるため、今後の米中対立における不透明さの材料がまたひとつ増えたことになります。
もっとも、中国当局は現時点で、技術や製品、原材料などの具体的な対象品目を公表していませんし、東アジアの地域的な包括経済連携(RCEP)で中国は「投資の際の技術移転要求の禁止」に同意しているため、過度な警戒は杞憂という見方もありますが、「安全保障」を口実にあらゆるものが対象となる不気味さは残り、米中対立だけでなく、日本をはじめとする他の外国企業も巻き込まれてしまうシナリオも考えられるため、中国離れが加速するのか、中国の圧力にある程度屈する形で受け入れていくのかが今後の焦点になって行くのかもしれません。
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