「いいとこ取り」で上昇する株式市場
11月相場入りとなった今週の国内株市場ですが、日経平均はこれまでのところ上値を切り上げる展開となっています。
先週末終値では23,000円割れとなっていたのですが、今週は節目の24,000円台水準を視野に入れるところまで値を戻しており、市場のムードが妙に強気に傾いている印象です。大統領選挙の当事国である米国株市場が大きく上昇していることが背景です。
選挙前はバイデン氏率いる民主党の勝利を見据えて株価が上昇してきたわけですが、選挙の途中経過でトランプ氏がかなり追い上げていることが判明しても、株価の上昇基調に変化は見られませんでした。どちらの候補が勝利するにしても、新型コロナウイルスの感染再拡大を前に、大規模な経済政策を打つことに変わりはないという前提があるのかもしれません。
また、選挙の開票が始まった4日の米株市場はGAFAMをはじめとするIT・ハイテク株が大きく上昇しました。トランプ氏の追い上げや議会選挙も共和党が優勢という報道を受けて、これまでの「ブルーウェーブ(大統領も議会も民主党勝利)」シナリオに揺らぎが生じたにも係わらず、むしろ、
「ねじれ(大統領と議会が異なる政党)となれば、民主党政権下で懸念されていた大手IT企業への規制強化が後退するのではないか、また、増税も思ったよりマイルドになるのではないか」といった具合に、開票状況の変化に併せて株式市場も都合よく解釈して買いの材料にしているようにも見えます。
もっとも、米大統領選は接戦で、日本時間5日の朝時点でまだ大勢が判明していません。場合によっては敗者が結果を受け入れず、法廷闘争に持ち込まれて長期化する可能性も出てきています。足元の状況は、選挙前に市場が想定していた「悪い」シナリオのはずだったのですが、今のところ悪材料視されていません。
また、ねじれの状態となれば、民主・共和両党の対立構造が深まり、政策決定がスムーズに進まない懸念が残ることも意味します。選挙結果がどうなるにせよ、新型コロナウイルスへの対応に苦慮することが予想される状況下では、思ったよりも経済に与えるダメージが大きくなることも考えられます。
上昇という形で派手に動いている日米の株式市場ですが、こうした状況はしばらく続く可能性があります。ただし、あくまでも「短期で株価が動かされている」面が強いため、「中長期の株価の行方を決める動き」にはなっていないことを認識しておく必要がありそうです。
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