「オクトーバー・サプライズ」にざわついた株式市場は上昇できるか?

2020/10/09

今週の国内株市場ですが、日経平均は23,000円台前半でのもみ合いが続いています。月初は、東証のシステムトラブルによる売買停止や、トランプ米大統領の新型コロナウイルス感染が報じられるなど、いわゆる「オクトーバー・サプライズ」にざわついたわけですが、その割に日本株市場は冷静さを保っていると言えます。

また、東証マザーズに至っては今週も年初来高値を更新する動きを見せています。米国の政治動向は不透明さを増していますが、日経平均やTOPIXの主要株価指数が崩れていない限りは、利益を狙って新興株市場が選好されているような印象です。

とはいえ、油断はできない状況が続いていることには変わりはありません。米国株市場はトランプ米大統領の容体をめぐる動向で上げ下げが入れ替わる展開となっていますが、しばらくはこうした値動きが続くと思われます。同氏がわずか3日で退院し、元気な姿を見せたことは良いものの、ホワイトハウス内でも陽性者が相次ぎ、クラスターっぽい状況になっているほか、共和党の上院議員の中にも感染者が出ています。となれば、足元の株価反発のきっかけとなった、米追加経済対策の進展期待が後退する事態も想定されます。

また、今回の一連の動きによって、メディアではバイデン氏の大統領選勝利が濃厚になってきたと報じられ始めています。米市場でも「バイデン氏の勝利はさほど市場にとって悪材料ではない」といった声も聞かれ、織り込み始めるようなムードにもなっています。

とはいえ、バイデン氏の勝利が、掲げている政策の評価ではなく、反トランプの票が流れ込んだことによるものであれば、米民主党は元々一枚岩ではないこともあり、政権基盤が盤石なものになるとは限らないことも考えらえます。少なくとも、前回の民主党政権であるオバマ大統領が誕生した時の「Yes We Can」のような期待感の盛り上がりは今のところ感じられません。むしろ、バイデン氏は大統領選に勝利してからの方が大変なのかもしれません。

しばらくは米国政治動向をめぐる報道を中心に株式市場が振り回される展開が続くことになりそうですが、これらは株価を動かしても中長期的な相場を決めるものではないことを念頭に置いて相場に臨む必要がありそうです。

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