「スピード調整」後の株式市場は再び上を目指せるか?
今週の国内株市場ですが、これまでのところ値動きの荒っぽい展開が目立っています。
日経平均は、週初の15日(月)に先週からの株価下落の流れを引き継いで大きく下落し、22,000円台を下回って前週末比774円安となるも、翌16日(火)は今年3番目の上げ幅となる前日比1,051円高の大幅反発を見せています。テクニカル分析的には25日移動平均線がサポートとして機能しており、3月下旬からの株価の戻り基調はまだ崩れておらず、スピード調整の局面に入ったような印象です。
株価のスピード調整には、「値幅調整」と「日柄調整」のふたつがありますが、足元の値動きからすれば、現在は値幅調整が進んでいる状況と言えます。その後は日柄調整によるもみ合いがしばらく続くことになりそうですが、その中で日経平均が23,000円台からの上値をトライできるかが目先の焦点になります。とはいえ、23,000円~24,000円の価格帯は、昨年11月から今年の2月中旬まで、天井圏で3カ月以上もみ合った水準でもあります。
また、今週の株価反発のきっかけとなったのは、米FRBが流通市場を通じた社債購入を始めると発表したことや、トランプ政権が新たに1兆ドル規模のインフラ計画を検討していると報じられたこと、そして、5月小売売上高をはじめとする最近の米国経済指標が予想しているほど悪くない結果が相次いでいることなどが挙げられます。
確かに、最近の相場材料からすると、コロナ感染による実体経済への影響や回復スピードが想定していたよりも早まる可能性が高まってきたと思われます。ただ問題なのは、それらの好材料を織り込んだとしても、実体経済と株価水準とのあいだに生じたギャップをどこまで埋めることができるかです。
現在の株価水準は、金融緩和と信用緩和、そして外国人の見直し買いや、売り方の買い戻し、個人投資家の参入などの需給を中心に吊り上げられてきた面があります。これまでは株価の戻りを試す段階だったため、「事態は思ったほど改善しなくとも、悪くなっていない限りは買える」という状況だったと言えます。ただ、日経平均が天井圏の抵抗帯に差し掛かり、米株市場でもNASDAQが10,000p台に乗せて市場最高値を更新するなど、ここからは戻りを試す状況から、さらに買い上がれる状況か否かを判断する段階に入ったと考えられます。
さらなる上値トライには、このままの勢いで押し切ってしまうか、新たな買い材料が出てくるか、スピード調整で市場のエネルギーを蓄えるかのいずれかが必要になります。ここは無理をせず、じっくりと日柄調整を経てから上値をトライした方が、今後の株価の足取りがしっかりしたものになるのかもしれません。
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