悪いことばかりではない?「米中摩擦の再燃」

2020/05/08

今週の国内株市場はわずか2営業日しかありませんが、連休期間中の海外株式市場は米中対立への警戒感が浮上してきたものの、概ね堅調に推移していました。7日(木)の取引はやや下落してスタートしましたが、昨年のこの時期は連休明けに株価が急落して下落基調を描いて行ったことを踏まえると、今年はとりあえず波乱の取引再開は回避できたと言えます。ただし、下落の背景にあるのが昨年と同じ米中摩擦というのは少し気になります。

 

最近までの株式市場は、いわゆる「コロナ禍」からの経済活動再開に向けた動きや、ウイルスに対する治療薬への期待などによって戻り基調となっていました。連休明けもこの動きが続きそうというのが基本的なシナリオではありますが、米中摩擦の再燃は今後の相場の重石となる可能性があります。少なくとも中国関連銘柄への物色が出遅れそうなことは容易に想像できます。

 

今回の米中摩擦は、コロナ禍をきっかけに米国側からの動きが目立っているのが特徴です。主なポイントは、①「11月に控える米大統領選挙をにらんだ動き」という政治的なアピール、②「中国やWHOが初期対応を誤り、世界で感染拡大を招いた」、「中国の研究所からウイルスが漏れ出た」というコロナウイルスをめぐる責任や原因の主張、そして、③「制裁関税の発動」や、「サプライチェーンから中国を外すための補助金」といった対応・報復措置の検討の3点です。

 

中国は一足早く経済活動の再開へと歩みを進めたわけですが、実際に米国から③の報復措置が発動されてしまえばかなりのブレーキになりますし、中国だけでなく、米国自身や世界経済も無傷で済みません。最近まで燻っていた株価の「二番底」の懸念も現実味を帯びてきます。

 

確かに、米国が主張するようなウイルス感染の初期段階における中国やWHOの対応に関しては日本を含めて世界から疑問の声が多く出ていますし、中国の「マスク外交」に対する批判の声も上がっているため、今回の米国からの圧力は中国側の行動へのけん制の意味合いが強いと思われます。

 

また、世界各地では都市封鎖が解除されるなどの動きを見せつつも感染の再拡大が懸念されています。仮に中国で再び感染が広がってしまった場合、今月22日から全人代(全国人民代表大会)が控えているため、情報を開示しないということも考えられるのですが、今回の件により、米国との関係悪化に留意して中国が情報を開示せざるを得ない状況になると考えれば意味があると言えます。

 

本来であれば、「コロナ禍は全世界が協調して対応すべき事案なのに、米中で揉めている場合ではない」というのが正論ではあるものの、米中摩擦の再燃は悪いことばかりではないのかもしれません。

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