「崩れないが騰がらない」相場の変調
10月相場入りとなった今週の国内株市場ですが、これまでのところ日経平均は節目の22,000円台を下回る展開が続いています。10月3日(木)の取引も大きく値を下げてスタートし、株価水準を切り下げています。
楽観できない日銀短観の結果をはじめ、米9月ISM製造業景況感指数が10年ぶりの低水準に沈んだこと、10月1日から始まった消費増税への影響懸念や、建国70周年を迎えた中国では香港のデモ市民に対して警官による実弾が発砲され、米中関係や国際社会からの反応などが警戒されるなど、相場環境を整理してみれば株価の下落は想定の範囲内と言えます。ただし、最近までの株式市場は「崩れないが騰がらない」相場が続き、鬱憤が積もりつつある状況だったために今後の動きには注意が必要です。
昨年の国内株市場は、ちょうど今頃の時期に年初来高値をつけ、以降は年末にかけて下落のピッチを速めていきました。今年の日経平均の年初来高値は現時点で4月24日の22,362円(取引時間ベース)ですので、まだ年初来高値を更新していませんが、TOPIXについては先週わずかに年初来高値を更新しています。まもなく、国内外の決算発表シーズンを迎えることになるため、企業業績の状況によっては、株式市場が持ち直すのか、それとも下げ足を早めてしまうのか方向性が分かれることになりそうです。
仮に、足元の業績もしくはその見通しが芳しくなくても、米中関係の改善等による業績悪化の底打ち感が出てくれば、下値を拾う動きも出てくることが予想されます。来週は米中閣僚級協議が予定されていますが、その動向に注目が集まりそうです。協議に進展がみられなかった、もしくはさらなる制裁などの話が出てきた場合には、より株価が下げやすい地合いになってしまいます。
国内の個別銘柄でみても、例えばソフトバンクの株価が足元で軟調です。その要因として、出資している米企業ウィーワークのIPOが見送られたことや、米国が中国への投資制限や、米国株市場に上場している中国企業の上場廃止を検討していると報じられたことなどが挙げられます。同社は日経平均の指数寄与度が高く、個人投資家にも人気の銘柄であるため、特に米中関係の悪化に対して敏感に反応しやすくなっている可能性があります。
中長期的なシナリオが描きにくい中で日々の値動きはやや荒っぽくなっており、「株価指数の動いた方向についていく」、「材料のあった銘柄を手掛ける」、「比較的割安な銘柄を物色する」といった、短期的な取引が中心となっている状況はもうしばらく続きそうです。
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