株価の「堅い下値」を支えるもの
9月相場入りとなった今週の国内株市場ですが、これまでのところ日経平均は先週末に回復した20,500円台から上の株価水準をキープしての推移が続いています。
9月1日に米中で追加関税の掛け合いが行われ、2日は中国が米国をWTO(世界貿易機関)に提訴すると発表し、トランプ米大統領は「再選したら中国により厳しい取引を迫る」とつぶやくなど、米中摩擦は相変わらず改善の兆しがみられないほか、3日には米8月ISM製造業景況感指数が3年ぶりに好不況の境目である50を下回り、超大型ハリケーン「ドリアン」も米国に接近して、その影響が懸念されるなどの市場環境を考えると、株式市場は比較的堅調と言え、日経平均も2万円台を維持しています。
こうした「堅い下値」を支える要因のひとつとして、PBR(株価純資産倍率)からみた割安感が挙げられます。
ざっくりとした計算では、日経平均が2万円を割れるとこのPBRが1倍を下回るとされていますが、昨年末の日経平均が急落する場面では、その時の日経平均のPBRが1倍を下回ったところで反発に転じていたほか、過去に遡ったリーマン・ショック時でも2009年3月には0.81倍台まで低下した後に株価が下げ止まったという実績があります。
PBRは株価を1株当たり純資産(BPS)で割って算出される指標です。PBR1倍というのは、企業が解散して資産を売却しても、株主1人当たりの分配金は株価と名目上同じになることを意味します。
理論的に株価は会社の価値を表しますが、その会社の価値は「保有している資産価値」と「稼ぐチカラの事業価値」に分けられます。資産価値と株価を比べたものがPBR、事業価値と株価を比べたものがPERになります。
足元でPBRが注目されているということは、米中摩擦の影響などによる世界的な景気減速懸念によって、企業の事業価値から割安度を判断するPERが指標として機能しにくくなっていて、企業業績の伸びで株価の上値を追いにくい相場地合いであることの裏返しであると言えます。
また、PBRの計算根拠となる企業の純資産は資産総額から負債総額を差し引いたものですが、企業業績の悪化によって、資本金や保有有価証券の評価額が減少し、負債が増加することで資産価値が低下してしまいます。現在は、日経平均2万円が下値目処の根拠となっているPBRですが、企業業績に対する懸念の長期化で純資産が目減りする状況となれば、その分だけ株価の下値めども切り下がることにもなるため、注意が必要です。
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