「様子を見ながらの株価下落」は第二弾の急落に注意

2019/06/07

 6月相場入りとなった今週の国内株市場ですが、日経平均は週初の3日(月)に「窓」空けの一段安で始まったものの、その後の5日(水)には同じく「窓」を空けての急反発を見せています。

 

テクニカル分析の立場で見ると、このふたつの「窓」空けによって、3日(月)と4日(火)のローソク足はポツンと離れ小島のように取り残される格好となり、いわゆる「アイランド・リバーサル」と呼ばれる底打ちのサインになっています。そのため、チャート的にはしばらく株価の戻りを試してもおかしくはない状況と言えます。

 

こうした足元の株高は、米パウエルFRB議長が利下げ期待につながる発言をしたことや、中国商務省が米中協議を続ける姿勢を示したことがきっかけになっています。4日(月)の米国株市場では、NYダウが今年2番目の上げ幅(前日比512ドル高)を演じ、この流れを受けて日本株も連れ高している構図です。

 

ただし、米中摩擦の懸念後退と、米FRBのハト派スタンスによる株価上昇は今年に入ってから繰り返されているパターンで、特に目新しいものではありません。確かに、米FRBが利下げを行うという見通しは強まっていますが、それは米中摩擦の改善が進展せず、実体経済への影響が懸念されているからというのが前提にあります。

 

むしろ、制裁関税引き上げの応酬や、中国企業の華為技術(ファーウェイ)に対する取引制限、米国向けのレアアース輸出規制の検討など、対立を深めかねない材料の方が多くなっています。今月末のG20サミットを控え、「米中ともに最悪の事態は望んではいない」からと政治判断による事態の好転を期待する見方がある一方で、冷静にこれまでの材料を整理すれば、状況は悪くなっていると言わざるを得ません。

 

あらためて日経平均の値動きを振り返ってみると、5月の大型連休明けから下向きの意識が強まっていますが、22,000円台割れから21,500円を意識した戻り、そして21,000円台の攻防、20,500円割れで下げ渋るなど、結果的に株価水準は大きく切り下げていますが、様子をうかがいながら下値を探っていて、昨年12月後半に見せたような株価急落の雰囲気は感じられません。「政治的判断でガラリとムードが変わる」という期待が下値トライを抑制している面があるのかもしれません。

 

ただし、昨年12月後半の株価急落は、その前の10月に高値を付けた後に株価が下落に転じ、いったん反発してからしばらくもみ合いを繰り返した後に現れており、いわば株価下落の第二弾になります。今回も4月下旬に戻り高値を更新してから下落に転じ、いったん反発しているという状況は当時と似ている面があります。必ずしも歴史が繰り返されるわけではありませんが、次の下落には注意が必要と言えそうです。

 

 

 

 

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