再び日経平均は17000円を試す展開に
夏休みも今日で最後。最近、立て続けに台風が上陸、しかも東日本以北での上陸ということでやや戸惑いを隠せない。空を見上げればもはや秋の風情である。さて、遅くなったが7月のモデルポートフォリオの状況ならびに近況について記したい。
7月のマーケットは日米市場ともBrexitショックから立ち直る展開に。
米国市場は6か月続伸。6月の雇用統計は事前予想の+17.5万人に対して+28.7万人と5月の不調に反して大幅に改善してサプライズ。NYダウはイギリスのEU離脱前の水準を早々に回復し、過去最高値を1年2か月ぶりに更新。原油先物価格は月初の49ドル台から月末には41ドル台まで急低下したものの、FOMCが政策金利の据え置きを決定したため安心感。4-6月の企業業績は減益となったものの事前予想は上回る。7月のNYダウは18432ドルと前月より502ドル上昇し月間騰落率は+2.8%。ナスダックは5162となり319ポイント上昇の+6.6%となった。
東京市場は大幅反発。6月の日経平均はBrexitの影響を受けて-9.6%と急落していたが、7月は徐々に落ち着きを取り戻す展開に。米雇用統計の改善に加え、参議院選の与党圧勝で景気対策への期待が膨らむ。加えて「ヘリコプターマネー」への思惑から為替が一時107円台まで下落。「ポケモンGO」ブームにより任天堂関連銘柄が脚光。日銀の金融緩和は「ETF買い入れ額を年間3.3兆円から6兆円に増額」のみで失望感と安心感からマーケットは乱高下の様相に。売買代金は2.5兆円前後で推移。7月の日経平均は16569円で取引を終え、6月末の15575円から993円上昇し月間騰落率は+6.4%、Topixは+6.2%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が+1.5%、マザーズ指数は-8.8%となった。
太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」における7月のパフォーマンスは-2.0%となり、年初来-5.8%、累計では+138.5%(6月末+143.3%)と後退。7月末時点のポートフォリオの株式比率は47%で13銘柄を保有(6月末は47%で17銘柄を保有)。株式部分の含み益は+10.8%(6月末は+14.5%)。ただし、47%のうちダブルインバースETFの投資比率20%の実質ロング比率は-40%、純金ETFの10%は株式ではないため、純粋の株式のロングウェートは47%ではなく-33%である。6月末の-15%からショートポジションが増加した。
7月はBrexitショックからの立ち直る相場展開となった。6月の為替は米国の利上げ観測後退、イギリスのまさかのEU離脱による経済減速懸念が引き起こした円高により単月で10円も円高が進んだが、突然降ってわいた「ヘリコプターマネー」への思惑から過度な円高に修正のかかる展開となった。
1Qの決算発表が終わった。マーケット関係者は「円高にも関わらず比較的堅調」との見方が多いものの、減収となる企業が目立ち、明らかに需要が後退しているとの印象を受ける。少なくとも1Q決算において業績を好感した動きはあまり起こっていない。また、正式に発表された28兆円規模の経済対策はすでに話題に上らなくなってきている。8月の初めにおいて「現在のところ日銀が購入金額を倍増したETFがアナウンスメント効果となっている」と言っていたが、すでにそうした効果も薄れつつあり「需給だけに期待するのは危険である。また、いびつな価格形成も懸念材料である」と指摘した通りの展開となっている。年間6兆円の買いといえども、マーケットがダウントレンドに入れば支える力にはならない。
8/26のジャクソンホールでのイエレン議長の講演会や、それを受けてフィッシャー副議長の発言で追加利上げへの期待が高まったことで、今週に入ってから為替は103円台まで戻って来た。日経平均は再び17000円台を目指す動きを見せているが、7月も8月も突破できなかった壁をもし突破すれば、やや楽観的ムードで日本株は景気敏感株を中心とした銘柄群が物色されるだろう。
次のイベントは9/2の雇用統計発表となる。直近の2か月間が非常に好調だったため、今回も好調であれば利上げムードが広がるだろう。これは円安を触発する形となり、日本株にとってプラスに働く可能性がある。弊社のポートフォリオはこのところ一貫して動かない姿勢を続けているが、まだしばらくは保守的なスタンスによる運用を継続するのが賢明と考える。
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