上昇基調を取り戻すマーケット
早いもので、いよいよ今年も大納会を迎えた。今年はいろいろと波乱含みの年となったが、皆さんはどうだっただろうか? 年末年始はカレンダー通りとなるため、わずか休みは4日間であるが、有意義に過ごしていただきたい。さて、遅くなったが11月のモデルポートフォリオの状況ならびに近況について記したい。
11月のマーケットは日米市場とも続伸の展開となった。
米国市場は小幅続伸。10月のNYダウは1378ドル上昇し月間騰落率は+8.5%と7/22以来3ヶ月ぶりの高値の17663ドルまで回復したが、11月も買い優勢となり一時は年初来プラスに転換。10月の雇用統計は+27.1万人と予想の+18.5万人を大きく上回り、景気の堅調さを確認したため12月の利上げが意識される。一方、ECBの追加的金融緩和への期待が高まる。パリの同時テロによる欧州株式市場への影響がほとんどなく安堵感。11月のNYダウは17719ドルと前月より56ドル上昇し月間騰落率は+0.3%。ナスダックは5108となり55ポイント上昇の+1.1%となった。
東京市場も続伸し、日経平均は2万円台の大台乗せを狙う展開に。第2四半期の企業決算は比較的好調を確認。郵政3社上場は初値を上回って推移し相場ムードは改善。米利上げ観測を背景に円安が進み、業績改善期待で買い優勢に。7-9月のGDP速報値は年率-0.8%と予想-0.3%よりも下回り、2四半期連続のマイナスとなったものの政策期待が高まる。売買代金は月初こそ3兆円前後だったが月末にかけて2.兆円程度まで低下。為替は120円~123円台のレンジでの動き。11月の日経平均は19747円で取引を終え、10月末の19083円から664円上昇し月間騰落率は+3.5%、Topixは+1.4%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が+4.3%、マザーズ指数は+7.3%となった。
太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」における11月のパフォーマンスは+0.2%となり、年初来+4.2%、累計では+159.0%(10月末+158.3%)とわずかながら前進。保有株式のウェートは10月末の78%から80%へ上昇。ヘッジ戦略を実施していないためネットロング比率は80%。ポートフォリオの新高値銘柄はなし。
11月も引き続き上昇基調となったが、日経平均は大台の2万円を前にして足踏みが顕著となった。9/29の直近安値16930円から3000円上昇し、8/20につけた20033円の直近高値を前に売り買いが交錯。4月から8月までの4ヵ月にわたって2万円を挟んだ株価推移となっているため「やれやれ売り」をこなす状況となった。12/1の終値ベースでようやく日経平均は2万円を回復し、先行きに光が見えたかに思われた。
そして12月は来春のマーケットを占う上でも重要なイベントが多かった。第1週ではECB理事会が小幅ながらの追加的金融緩和を実施し、米雇用統計は堅調、また第3週にはFOMCにおいてFRBは予想通り9年半ぶりの利上げを決定した。FF金利の誘導目標を年0.0%-0.25%から0.25%-0.50%へと0.25%ポイントの引き上げとなり想定の範囲内であったことに加えて、今後の利上げペースがかなり慎重に進められる点を確認したことでポジティブである。一方、金曜日に発表された日銀の金融緩和の補完措置は物足りなさがあるものの今後の追加的緩和を温存する意味において順当な判断であろう。当面のマーケットを振り回す最大要因は原油価格の動向に絞られてきたため、リスク要因は単純化しつつある。
しかしながら、第4週の日経平均は5日続落し、4週続落という冴えない状況となり日経平均は再び19000円割れを記録。欧米市場は原油先物相場の反発ですでにリバウンドの展開となっているが、日本市場は受け渡しベースでの年内売買最終日に向けての節税対策売りが一貫して継続した。また為替市場も同様の理由で円高が進んだ。
今週からいよいよ2016年の新年相場が実質的にスタートした。需給要因による売り圧力が乏しくなるため、徐々に買い意欲が出てきている。まずは日経平均19000円台の回復が急務である。これまでも指摘しているように「米国の金融引締め開始vs日本の金融緩和継続」の構図がある限りは日本の円安・株高が続くと見られる。来期の企業業績は円安による押上げ効果はほとんどなくなるが、原油安による効果は日本企業にとっては大きなメリットになる。
年末から年明けにかけて、日本株市場は引き続き上昇基調が続くことが予想される。来年の3月末までに8/10に付けた直近高値20808円を再び更新するかどうかが最大のポイントになるだろう。運用資産の積み上げに邁進してきたい。
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