やや持ち直しも、15200円奪回が問われる局面
2月は全国的に大荒れの気候となり、「観測史上初」という言葉が並んだ。また、株式市場も大きく荒れる展開となっており、昨年末までの楽観ムードが一変する展開である。
さて、まずは1月のモデルポートフォリオのご報告から。
1月のマーケットは日米市場とも大きく調整する展開となった。
米国市場は5ヶ月ぶりに大幅反落。12月末にNYダウは過去最高値の16576ドルを記録したものの、年初からは利食い売りでスタート。12月の雇用統計が+7.4万人と予想の+20万人に比べて大幅に下回ったため、雇用情勢の先行き不透明感から下げが加速。加えて、追加の金融緩和縮小で月間証券購入額が750→650億ドルへの引き下げが決定し、アルゼンチンやトルコなどの新興国通貨が大幅に下落したことが市場参加者の不安を誘った。マクロ経済指標は概ね好調なものが多く、FRBは米景気の先行きに自信を見せた。一方、米企業決算は好不調がまちまち。1月末におけるダウは15698ドルとなり877ドル下落し月間の騰落率は-5.3%。09年2月以来4年11ヶ月ぶりの下げを記録。ナスダックは4103ドルとなり72ドル下落の-1.7%となった。
日本市場は3ヶ月ぶりに大幅反落し、1月は4週連続の下落を記録。欧米市場の下落に加えて、新興国通貨安によりリスク回避の投資先として円が急激に買われ105円台から一時は101円台後半まで円高が進んだ。加えて中国の1月のPMI(製造業購買担当者景気指数)が49.6と半年ぶりに好不況の判断基準の50を下回ったため、新興国経済への不安が台頭した。マーケットは大幅に下落する展開となったものの売買代金は連日2兆円超の商いで推移し、買い意欲の強さも目立った。
1月の日経平均は14914円で取引を終え、12月末の16291円から1376円下落し月間騰落率は-8.5%となった。これは08年10月のリーマンショック時に次ぐ下落幅(2682円の下落)である。一方、Topixは-6.3%の下落にとどまった。小型株市場はジャスダック平均が+2.4%、マザーズ指数は-0.3%と大型株に比べて堅調であった。
太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」における1月のパフォーマンスは-4.4%となり、年初来は同じく-4.4%、累計では+129.2%(12月末+139.8%)と後退した。月間パフォーマンス-4.4%はマーケット全体と相対比較すると下落率は小さかったものの、昨年最も厳しかった10月の-4.0%を下回る結果となった。保有株式のウェートは12月末の89%から83%へ下落。ヘッジ戦略はおこなっていないため、ネットロング比率は83%である。
2月は日経平均が一時14000円割れを記録したため、モデルポートフォリオの保有銘柄の多くが逆指値にヒットし投資ウェートはさらに下落してダウンサイドに備える形になっている。1月の波乱要因であった新興国通貨の下落は一服しているが、相変わらずの円高に加えて中国および米国の景気減速への懸念がくすぶり続けている。
現在のマーケットを見ると、日経平均が14500円を下回ったところでは先物主導の売りが加速しやすく、加えて信用取引の投げ売りが出やすい状況にある。一方、リバウンドするところではその逆の現象が起き、信用取引の「売り」の慌てた買戻しが起こるというボラティリティが激しい展開だ。
3Qの日本企業の決算内容はさほど悪くなかった。大きく上方修正する企業も数多くあるが、このようなマーケット展開の中ではファンダメンタルズが反映されづらい。我慢の時である。
さて、2月も後半に入ったが、大荒れ模様がやや収束してきたような現象がちらほら出てきている。日経平均はまだ沈んだままだが、テクニカル的には一目均衡表における先行スパン2にあたる15200円を奪回できるかどうかがカギであろう。このレベルを回復しない限りは、閉塞感の強いマーケット展開になる可能性が強く、奪回できればファンダメンタルズを反映した株価形成に移行するだろう。
昨年のマーケットでも何度も経験した調整局面であるが、堅調な上昇を続けるためには必須の事象である。最も恐ろしいのはマーケットシステムを揺るがしかねない可能性を秘めた中国の理財商品やシャドーバンキングの行方であるが、これについては冷静に見守るしかない。どれくらい中国政府は威信をかけて、この問題に対処するのかが注目される。
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