年初来高値突破でマーケットは新局面入りへ
師走も後半戦に入った。今年は稀にみる上昇相場となり、1年前に比べると実体経済も人々の心理面も様変わりした。浮かれているだけではいけないが、久々のチャンスを味方につけたいものだ。
さて、11月のモデルポートフォリオのご報告から。
11月のマーケットは日米市場とも高値追いの展開となった。
米国市場は8週連続の上昇を記録して3ヵ月連騰となり過去最高値を更新。10月の雇用統計は市場予想の10~12万人増を大きく上回る20万人増となり雇用が予想以上に改善しているとの見方が強まった。住宅関連指標、消費関連指標も良い数字となり着実な景気回復を示す内容となった。次期FRB議長となるイエレン氏が公聴会に出席し「金融緩和縮小には慎重」との姿勢を示したことで金融緩和の長期化観測が強まり、リスクオンの展開となった。一方で、相場の過熱感を指摘する声も増え、力強い上値追いまでには至らなかった。11月末のダウは16086ドルとなり541ドル上昇し月間の騰落率は+3.5%。ナスダックは4059ドルとなり140ドル上昇の+3.6%となった。
日本市場は大幅反発で5/22に付けていた年初来高値を更新した。10月の不安定な相場展開を受けて決算発表の後半戦にあたる11月上旬までは閉塞感が強かったが、中旬以降は吹っ切れる展開となった。米国高や雇用統計の好調に加えて、為替が対ドルで100円を突破し102円台まで下落したことで買い優勢となった。ただし、先物主導の面が強く日経平均の上昇率だけが突出し、個別株が追いつかない現象が起こった。NT倍率は12.47倍と2000年8月以降で最高を記録。11月の日経平均は15661円で取引を終え、先月末の14327円から1333円上昇し月間騰落率は+9.3%と4月の+1462円(+11.8%)に次ぐ大きさとなった。一方、Topixは+5.4%にとどまった。小型株市場はジャスダック平均が+2.2%、マザーズ指数は+9.3%と差が大きく出た。
太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」 における11月のパフォーマンスは+9.8%となり、年初来は+41.2%(10月末+28.6%)、累計では+125.3%(10月末+105.3%)と大きく飛躍し、9月末の最高値+113.8%を更新した。保有株式のウェートは10月末の80%から88%へアップ。ヘッジ戦略は現在おこなっていないため、ネットロング比率は88%である。
12月のマーケットは米国の量的金融緩和縮小への懸念で米国市場は月初から売り優勢であったが、小幅な縮小が発表されると金融緩和継続のまま米国経済への期待値が高まったため、NYダウは一気に過去最高値を更新。これを受けて日本市場も日経平均が年初来高値更新の展開になっている。為替は対ドルで104円台にまで下落。
米国の政府機関の一時閉鎖などのリスクもほぼなくなったため、来月にかけてはリスクオンの展開が予想される。現在の最大のリスクは隣国(北朝鮮、韓国、中国)との緊張の高まりだろう。これまで経験したことのないようなにらみ合いが続いており、不測の事態が起こることが最も恐ろしい。シートベルトだけは締めておくことが大事だ。
今年の年末の終値ベースで日経平均が16000円台に乗せるかどうかが注目される。
なお、12月にさくら舎より新刊本を発売した。
『稼ぐ!ロジカル株投資』(太田忠、さくら舎)
サブタイトルは「個人投資家だからできる勝者のゲーム」であるが、まさに本コラムでご紹介しているモデルポートフォリオのような成果をあげるためにはどうしたらよいのか、について「40のルール」としてまとめたものである。ご興味のある方はどうぞ。