「含み益」を「実現益」に変え、「出遅れ株」への再投資で資金効率アップを
今年もすでに3月に突入した。
「一年の計」は着実に実行しているだろうか?
もうそろそろ、忘れてしまいそうな頃だが、このあたりから差がついてくる。「差」といってももちろん他人との「差」ではない。自分がイメージしている自分との「差」である。お間違いのないように。
さて、2月の弊社のインターネットによる個人投資家向け投資講座の「投資実践コース」におけるモデルポートフォリオのパフォーマンスは+5.4%となり、昨年来高値を4ヶ月連続で更新して累計では+47.2%となった。2011年の年初来では+7.0%。「年率+10%」の確保を最低ラインの目標としているが、今年は非常にハイペースである。
2月のマーケットは中旬までは日米ともに上昇基調が続いていたが、1月のエジプトの政局不安に続いて、リビアでの内乱で原油先物市場が高騰。10800円台半ばまで上昇していた日経平均は一気に10400円台まで急落した。原油相場は2年5か月ぶりの100ドル突破で、景気の先行きへの不安が急速に台頭した。この点が1月とは違う。
その後は戻り歩調にあるものの、1日の値幅が比較的大きなボラティリティ相場の展開が続いている。リビアはベネズエラが提案している和平案を受諾した、と報じられているが、実際のところその内容や今後の影響は不透明である。中東では連日各地で反政府運動が展開されており、イランでも活発化している。予断を許さない状況だ。
一方、経済指標および企業業績に関しては回復基調が途切れず、好調が持続している。しばらくは膠着感が強い展開となりそうだが、再度日本市場が上昇相場入りするかどうかは、外部環境次第だろう。
2月はマーケットの調整により、モデルポートフォリオの保有銘柄で「利益確定逆指値」にヒットするものがいくつも出てきた。これは致し方ないことであり、むしろ健全な姿だと言える。おかげで「含み益」を「実現益」に変えることができ、手元に戻ってきた資金を「出遅れ株」へ再投資するという形で資金効率を上げることができる。ここが大事な点である。永遠に上がり続ける銘柄など存在しない。「含み益」を追求して喜んでみてもそれは単なる「幻」であり、相場の下落とともに「架空の利益」は一瞬にして萎む。萎んでしまってから気づいても遅いのだ。そうならないように対策を打っておくのが大事である。同じく、株式市場全体の右肩上がりの時代は終わった。ずっと長期で投資信託に投資していても、運用資産は増減を繰り返すだけであり、運用額曲線は右肩上がりにはならないのだ。「長期投資していれば報われるだろう」なんてことはないのだ。
3月のマーケットがどうなるのか、想像つかないのが正直なところであるが、それがまた楽しいところでもある。何度も本コラムで言っているように、資産運用において「予想する」ことや「予想が当たる」ことは重要ではない。そもそもそんなことを考えていても意味がないのだ。適切な銘柄選択をしつつ、同時にガードの堅いリスク管理ができているかどうか ― これが重要なのだ。
「ダウンサイドリスクに強く」「上昇相場にもついていく」というポートフォリオ戦略を毎月粘り強く続けていきたい。