久々に政治主導で活気づくマーケット
早いもので師走も半ば。相当先のことだと思っていたクリスマスや大晦日、そして正月はあっという間にやって来る感じだ。1日1日、充実して過ごしたいものだ。
さて、11月のモデルポートフォリオのご報告である。11月のマーケットは米国市場が軟調だったのに対して、日本市場は大幅に上昇した。
米国市場は小幅続落。月の半ばまでは、大型減税の失効と歳出削減が来年の初めに同時に起こる「財政の崖」への警戒感が強く売り優勢に。NYダウは一時4ヶ月ぶりの安値となる12500ドル台を付けた。その後は、回避に向けて与野党の協議が進展するとの期待感からマーケットは反発し、13000ドル台を回復した。与野党協議は継続されているものの双方の意見が対立したままの状況は改善されなかった。米国のマクロ経済指標は概ね堅調であり、加えて中国の景気指数がやや回復傾向が出てきたことが相場に寄与した。11月のダウは13025ドルで取引を終え71ドル下落し月間の騰落率は-0.5%。ナスダックは3010ドルとなり33ドル上昇の+1.1%となった。
日本市場は大幅続伸。月の半ばまでは米国市場に追随して日経平均は8600円台まで下落したが、11/14に野田首相が衆議院の解散を発表。自民党の新政権への復帰による景気対策ならびに大胆な金融緩和政策への期待が高まり、為替は対ドル79円台前半、対ユーロ101円台前半から一気に82円台後半、107円台後半まで円安が進み全面高の展開となった。ヘッジファンドによる積極的な先物買い、外国人投資家による主力銘柄の買いが入り、売買高は連日1兆円を超えて久々に活況を呈した。11月の日経平均は9446円で取引を終え先月末の8928円から518円上昇し月間騰落率は+5.8%となったのに対してTopixは+6.5%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が+1.7%、マザーズ指数は+3.7%となり大型株に対してアンダーパフォームした。
太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」 における11月のパフォーマンスは+1.3%となった。年初来は+4.4%(10月末+3.0%)、累計では+49.6%(10月末+47.6%)とやや盛り返した。保有株式のウェートは10月末の31%からやや増やし11月末は36%へと増加。ヘッジ戦略は現在おこなっていないため、ネットロング比率は10月末の31%から11月末には36%へと上昇した。
12月に入っても11月からの流れは途切れず、円安を背景とした「安倍トレード」で日経平均は現在9700円台を回復している。日本の株式市場において政局が大きくマーケットを動かすということは珍しいが、2005年の小泉首相による郵政解散選挙を髣髴とさせる動きでとても興味深い。海外投資家もクリスマス返上で「日本マーケット」を注視しようという動きが出ている。16日の衆議院選挙による自民党の圧勝ならびにその後開催される日銀の金融政策決定会合における追加の金融緩和策についてはほぼ織り込まれているとは言うものの、問題はその後の展開だ。買い一巡感からいったん調整局面に入るのか、それとも堅調な展開が続くのか? 目が離せなくなってきた。