金融相場から卒業しつつあるマーケット

またもや緊急事態宣言の延長である。延長に加えて、明らかに地方都市でのコロナ感染者数が増えてきている。しかも英国型だけでなく、インド型変異株の感染者の報告が日に日に増えており、基礎疾患のない者でも重症化する可能性が高まっている。菅政権はわき目もふらずにオリンピックまっしぐらだが、その姿は旧日本軍とよく似た構図だなと最近思うようになった。もしオリンピック強硬開催後に日本が悲惨な状況になった場合、どう責任を取るのかを今のうちに表明しておいていただきたいと思う。でないと私は納得できない。さて遅くなったが、4月のポートフォリオの状況ならびに5月の近況について記したい。

4月のマーケットは米国市場の上昇に対して、日本市場は下落する展開となった。

米国市場は3ヶ月続伸。NYダウ、SP500、ナスダックの主要3指数が揃って過去最高値を更新。3月の雇用統計が+91.6万人と予想の+67.5万人を大きく上回り、失業率も6.0%と前月より0.2ポイント低下。3月の非製造業景況感指数も過去最高を記録。コロナワクチン接種が当初計画の2倍となる2億回を超え、4-6月は一段の景気回復への期待が高まる。FRBによる金融緩和長期化観測も支援材料に。NYダウは初の34000ドル乗せとなるものの、バイデン政権が富裕層への増税とキャピタルゲイン課税を2倍に引き上げるとの方針発表で利益確定売りが広がる。4月のNYダウは33874ドルと前月より893ドル上昇し月間騰落率は+2.7%。ナスダックは13962となり715ポイント上昇の+5.4%となった。

東京市場は6ヶ月ぶりに反落。日経平均は一時3万円台を回復したものの、国内でのコロナウイルス感染拡大や、4都府県で3度目の緊急事態宣言の発出見通しとなったことから投資家心理が悪化し、利益確定売りの動き。また3月決算発表を前に次第に様子見ムードが漂う。為替は先月末の110.65円から今月末は108.85円と円高に。売買代金は2.3兆円程度と商い急速にしぼむ。4月の日経平均は28812円で取引を終え、3月末の29178円から366円下落し月間騰落率は-1.3%、Topixは-2.9%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が-1.1%、マザーズ指数は-0.1%となった。

太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」   における4月のパフォーマンスは-0.6%となり、年初来+8.0%、累計では+224.5%(3月末+226.3%)とやや後退。4月末時点のポートフォリオの株式比率は84%で33銘柄を保有(3月末は85%で34銘柄を保有)。

株式部分の含み益は+70.0%(3月末は+70.7%)。ただし、84%のうち現物株のウェートは49%、日経レバレッジETFの保有比率20%の実質ロング比率は40%でロングは合計89%。これに対し日経ダブルインバースETFの保有比率10%の実質ロング比率は-20%、純金ETF5%は株式とは逆の動きをするため、これらのロング比率は-25%。トータルでは64%のロングポジションである。

5月のマーケットはボラティリティが高まっている。その一番の要因が米国金利の動向である。一時は1.7%台まで上昇。今のところFRBは現状の金融緩和政策を継続との姿勢だが、明らかにインフレ懸念があちこちに見え隠れしている。これまでは金余りが相場上昇の原動力であった。株式市場において最も影響を与えるファクターは景気や景況感、業績動向ではなく、今や金利政策である。仮に不況であったとしても、金融緩和がおこなわれていればマーケットに流れるマネーが株式市場を下支えしてくれるが、逆にたとえ経済が順調に回復していても、マネーが収縮すれば一気に株式市場は厳しくなるという状況が想定されるため、警戒を怠らないようにしなければならない。

これからの投資戦略として有効なのは高成長&高バリュエーションの投資ウェートを落とし、バリュー系銘柄や金利上昇によって恩恵を受ける銘柄を多く持つことである。弊社のモデルポートフォリオはすでにそのようなストラクチャーにしているため、金融相場後のマーケットを乗り越えていこうというスタンスだ。しばらくボラティリティの高い動きが続くと見られるため、慎重姿勢を継続したい。

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