マーケットは常に正しい。やるべきことをやろう。

早いものでいよいよ今年も大納会を迎えた。新型コロナに振り回される1年だった。これまでの生活様式が一変し、簡単にできるはずのことができなくなった世の中。2021年は良い年になることを願うばかりだが、変異種のコロナウイルスの蔓延でより厳しくなる可能性もあり、予断を許さない。さて遅くなったが、11月のポートフォリオの状況ならびに12月の近況について記したい。

11月のマーケットは一転して、日米市場ともに記録的な上昇となった。

米国市場は急反発。NYダウは初の3万ドル台乗せとなり、月間では87年1月以来33年10か月ぶりの上昇率に。大統領選挙においてバイデン氏が勝利し、新政権への移行が円滑に進むとの見方から投資家心理が改善。ファイザーやモデルナ、アストラゼネカ等のコロナワクチンの治験がきわめて良好で経済回復への期待が高まる。10月の雇用統計は+63.8万人と予想の+53万人を上回り、失業率も6.9%と前月7.9%から低下して6カ月連続の改善に。また7-9月期の決算は予想を上回る企業が多く安心感。11月のNYダウは29638ドルと前月より3137ドル上昇し月間騰落率は+11.8%。ナスダックは12198となり1287ポイント上昇の+11.8%となった。

東京市場も大幅反発。日経平均は26000円台を回復し、94年1月以来26年10か月ぶりの上昇率。コロナワクチンの早期実用化の動きが急速に出てきたことや、欧米高を受けて買い優勢に。世界的な金融緩和が続くとの見方から海外資金が大きく流入。2Q決算では通期の上方修正する企業が目立ち安心感。7-9月期GDPは年率+21.4%と4四半期ぶりのプラス成長に。一方、国内のコロナ感染者増による経済活動制約の悪影響は限定的。為替は先月末の104.25円から今月末は103.95円とやや円高に。売買代金は2.8兆円程度と商い活況。11月の日経平均は26433円で取引を終え、10月末の22977円から3456円上昇し月間騰落率は+15.0%、Topixは+11.1%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が+3.2%、マザーズ指数は+5.2%となった。

太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」における11月のパフォーマンスは+11.5%となり、年初来+9.8%、累計では+187.6%(10月末+157.9%)と大きく前進。11月末時点のポートフォリオの株式比率は80%で31銘柄を保有(10月末は76%で30銘柄を保有)。株式部分の含み益は+49.5%(10月末は+30.6%)。ただし、80%のうち現物株のウェートは45%、日経レバレッジETFの保有比率20%の実質ロング比率は40%でロングは合計85%。これに対し日経ダブルインバースETFの保有比率10%の実質ロング比率は-20%、純金ETF5%は株式とは逆の動きをするため、これらのロング比率は-25%。トータルでは60%のロングポジションである。

11月のマーケットは急騰した。10月は「大統領選の行方、追加経済対策の協議の不透明感、欧州でのコロナ感染の再拡大」という3つの要因で下落に見舞われたが、11月は大統領選挙の結果が明確となり、加えてコロナワクチン実用化への道が開けたことで買い優勢となった。相変わらず世界的なコロナ感染拡大は続いているものの、光明となるニュースに敏感に反応した形だ。また2Q決算も日米ともに想定より好調との結果もマーケットの下支えとなった。

記録的かつ短期的な急騰を演じた後だけにさすがに過熱感が強く、12月においてこの水準からは相場全体に対して強気継続は難しいと考えていたが、月末になって再び加速して日経平均は1990年8月以来、30年4か月ぶりの高値を回復し27500円台まで上昇。我々が注目してきた小型の超割安景気敏感株も動き始めている。

バリュエーション的に見れば相当高くなっていると同時に、高PBR銘柄がバンバン上がり、低PBR銘柄との格差がインターネットバブル時代並みに広がっている。メディアでは「新時代の銘柄選択が必要だ」という論調が多いが。今目の前で起こっている状況が今後ずっと続くと考えるのは危険である。いつかは逆回転が起こり、割高なものは修正されていくのがマーケットの常である。

「マーケットは常に正しい」という視点に立ち、今やるべきことをやるべきである。例えば、シニア投資家であれば株式ウェートを下げる、長い投資スパンの取れる若者であれば、長期で資産形成をするために毎月積み立て型商品の活用を考える、まだまだマーケットにチャンスがあると思う投資家ならば、割高から割安にシフトする…などそれぞれの置かれている立場で正しい行動をすることだ。「売りを仕掛けたが、ことごとくやられて含み損を抱えている」という投資家ならそのまま上に持っていかれる可能性が高いのでただちに止血をする。これは当然のことである。2020年は予想外の相場展開となったが、2021年も同様だ。やるべきことをきちんとやろう。

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