一番出遅れているバリュー系銘柄を拾う

コロナ騒動で今年は季節感に乏しいと思っていたが、やはり猛暑・酷暑は健在で熱中症で救急搬送される人たちが後を絶たない8月となった。7月は日を追うごとに国内のコロナ新規感染者数が増加していく月となったが、8月に入ってからは頭打ちの傾向となっている。もちろん油断はできないが、秋以降の再拡大がないことを切に望んでいる。さて遅くなったが、7月のポートフォリオ状況ならびに8月の近況について記したい。

7月のマーケットは米国市場の上昇に対して、日本市場は下落する対照的な展開となった。

米国市場は4ヶ月続伸。NYダウは一時27000ドル台に乗せ、ナスダックは過去最高値を更新。6月の雇用統計は予想の+290万人に対して+480万人と大きく上回り、失業率も前月の13.3%から11.1%に改善。6月の製造業景況感指数も52.6と予想の49.5を上回る。4-6月のGDPは年率-32.9%と過去最大の落ち込みを記録。一方、米国の1日のコロナ新規感染者数は7万人を超えて過去最多に。FRBはゼロ金利政策と国債などの資産購入維持を決定し、金融緩和の長期化を期待。7月のNYダウは26428ドルと前月より615ドル上昇し月間騰落率は+2.4%。ナスダックは10745となり687ポイント上昇の+6.8%となった。

東京市場は4ヶ月ぶりに反落。1Q決算が本格化する中、通期ベースの業績が想定以上に厳しい企業が目立ちキヤノン、ファナック、アドバンテストなどが大幅安。GoToトラベルキャンペーンの初日の全国感染者数が795人と過去最高を記録し警戒感。また月末には東京都の1日のコロナ新規感染者数が過去最多の400人を超え、景気への先行き懸念が高まる。加えて、中国政府による香港の国家安全維持法が成立し米中対立懸念もくすぶる。為替は先月末の107.70円から今月末は104.45円と円高に。売買代金は2.1兆円程度と商いは低水準。7月の日経平均は21710円で取引を終え、6月末の22288円から578円下落し月間騰落率は-2.6%、Topixは-4.0%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が-2.3%、マザーズ指数は-5.3%となった。

太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」における7月のパフォーマンスは+0.3%となり、年初来-5.8%、累計では+146.8%(6月末+146.2%)とわずかに前進。7月末時点のポートフォリオの株式比率は72%で27銘柄を保有(6月末は73%で28銘柄を保有)。株式部分の含み益は+24.5%(6月末は+23.4%)。ただし、72%のうち現物株のウェートは37%、日経レバレッジETFの保有比率20%の実質ロング比率は40%でロングは合計77%。これに対し日経ダブルインバースETFの保有比率10%の実質ロング比率は-20%、純金ETF5%は株式とは逆の動きをするため、これらのロング比率は-25%。トータルでは52%のロングポジションである。

8月の日本市場は一転して上昇し、日経平均は久々に23000円台を回復した。4-6月期決算は予想通り低調なものが多く、「今期の業績不振を改めて再確認する」というムードが漂っていたが、徐々に2Qからの底入れへの期待が高まりつつある雰囲気になっている。米国市場もNYダウは28000ドル台を回復し、S&Pとナスダックは過去最高値を更新中だ。

そうした中、弊社のモデルポートフォリオでは、マーケットで一番出遅れているバリュー系銘柄、すなわち小型の景気敏感株の買い戻しを徐々におこなっている。これまでのところ大型株や成長株がマーケットを牽引してきたが、そうした流れがひと段落してマーケット全体が上がりにくい状況になれば、必ずや出遅れ株がスポットライトを浴びるのはこれまでの歴史の常である。新型コロナショックで叩き売られたまま立ち上がれない銘柄の中にはPER1ケタ、PBR0.3倍程度のものがたくさんある。昨年末から今年初めにかけて、本コラムにてそうした個別銘柄の紹介をいくつかおこなってきたが、まさにこの領域にチャンスがあると考えている。

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