個別銘柄勝負のマーケット展開

長かった梅雨も7月末になってとうとう明けた。いきなり猛暑が襲ってきている。直接陽射しを浴びていなくても、蒸し暑さで体力を消耗してしまう。私は少し油断して軽い熱中症になってしまった。半日中、身体はだるく安静にしているより他なかった。皆さんも注意していただきたい。さて遅くなったが、まずは6月のポートフォリオの状況ならびに近況について記したい。

6月のマーケットは日米市場ともに上昇する展開となった。

米国市場は反発。FRBのパウエル議長が米中貿易摩擦激化で「適切な金融政策に向けて行動する」と発言し、5月の雇用統計が+7.5万人と予想の+18万人を大きく下回り、3~4月分も下方修正されたことから利下げ期待から買い優勢に。NYダウは一時、昨年10月の最高値を抜く局面があったものの月末にかけて利益確定売りが優勢。長期金利は2年8か月ぶりに1.94%の水準まで低下。6月のNYダウは26559ドルと前月より1744ドル上昇し月間騰落率は+7.0%。ナスダックは8006となり552ポイント上昇の+7.4%となった。

東京市場も反発。米国市場の上昇や貿易摩擦問題の懸念後退で買い戻しの展開。米国の利下げ期待が高まったことで、ドル売り・円買いが一段と進み、日本株には逆風に。G20における米中首脳会談で貿易協議再開が決まり安心感。為替は先月末の108.90円から今月末は107.65円へ。売買代金は1.9兆円程度と超閑散。6月の日経平均は21275円で取引を終え、5月末の20601円から674円上昇し月間騰落率は+3.3%、Topixは+2.6%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が+2.0%、マザーズ指数は-1.1%となった。

太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」における6月のパフォーマンスは+2.8%となり、年初来+3.1%、累計では+140.7%(5月末+134.1%)と盛り返す。6月末時点のポートフォリオの株式比率は68%で24銘柄を保有(5月末は67%で24銘柄を保有)。株式部分の含み益は+18.6%(5月末は+13.6%)。ただし、68%のうち現物株のウェートは34%、日経レバレッジETFの保有比率20%の実質ロング比率は40%でロングは合計74%。これに対し日経ダブルインバースETFの保有比率10%の実質ロング比率は-20%、純金ETF5%は株式とは逆の動きをするため、これらのロング比率は-25%。トータルでは49%のロングポジションである。

5月の大幅下落から6月は一転して反発する展開となった。FRBが景気の先行きに配慮して利下げ転換を表明したことで緩和マネーの株式市場への流入期待が高まった。これを受けてNYダウは1744ドル高の+7.0%と大きく反発。一方、日経平均は674円高の+3.3%と上昇率は半分以下にとどまった。これはひとえに米国の金融緩和政策へのかじ取りでドルが売られ、円が買われることによる悪影響を受けていることが要因だ。米国の金利が下がれば、日本円の価値が上がり円が買われる。それが日本企業の業績にとってマイナスになることを織り込んでいる形だ。本レポートにおいて度々指摘している日米株価格差は5月末において4214ポイントであったが、6月末には5286ポイントと一気に広がった。基本的には3000ポイント以上の格差が生じれば、日本株の出遅れ感が高まっている状況と言えるが、そういう経験則から外れた展開となっている。

7月のマーケットは米国市場が過去最高値を更新する一方、日本株は相変わらず低空飛行の状況が続いている。日米株価格差は一時6000ポイントに拡大したが、現在は5500ポイントレベルに落ち着いたものの、6月末からさらに拡大している。米国企業の4-6月期決算は事前予想では減益であったが増益に転換する可能性も出てきており、米国経済の力強さを再確認する内容となっている。日本企業の決算発表が本格化しているが、じっくりと内容を見極めていきたい。市場全体への期待値は高まらないが、個別銘柄の値動きが良くなっているのは評価できる。しばらくは個別銘柄勝負のマーケット展開が続くだろう。

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