下げ相場への対応をしていますか?
令和時代の幕開けは怒涛の10連休で始まったが、予想されていた大きな混乱もなく長期のお休みを満喫された方々も多かったと思う。私は自宅でゆっくりしたが「毎年10連休だったらいいな…」などと思い巡らせたほどだ。しかし、改元の祝賀ムードとは対照的に5月のマーケットは厳しさを見せつける展開となった。さて遅くなったが、まずは4月のポートフォリオの状況ならびに近況について記したい。
4月のマーケットは日米市場ともに上昇する展開となった。
米国市場は4ヶ月続伸し、S&Pとナスダック指数は過去最高値を更新。3月の雇用統計は+19.6万人と予想の+17.7万人を上回り、時給は伸び率鈍化でインフレ懸念が後退。3月の小売売上高は+1.6%と予想の+1.0%を上回り2017年9月以来の伸び率に。エコノミストによる1-3月のGDP予想の上方修正が相次ぐ。また、3月の中国の工業生産高は+8.5%と予想の+6.0%を上回ったことも好感。米国企業の決算は11四半期ぶり減益ながらも想定よりも堅調。4月のNYダウは26592ドルと前月より664ドル上昇し月間騰落率は+2.6%。ナスダックは8095となり366ポイント上昇の+4.7%となった。
東京市場は大幅反発。日経平均は22000円台乗せとなり12/3以来4か月ぶりの高水準。米国高や米中貿易協議進展への期待から投資家心理が改善し、イギリスのEU離脱期限が10/31までに延長されたことで安心感。日銀が金融緩和を少なくとも2020年春まで継続との姿勢を示す。ただし、月末には決算発表や10連休を控えて様子見ムードが広がる。為替は先月末の110.80円から今月末は111.65円へ。売買代金は2.1兆円程度と薄商い。4月の日経平均は22258円で取引を終え、3月末の21205円から1052円上昇し月間騰落率は+5.0%、Topixは+1.7%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が+0.3%、マザーズ指数は-1.2%となった。
太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」における4月のパフォーマンスは+1.9%となり、年初来+6.8%、累計では+149.5%(3月末+144.7%)と前進。4月末時点のポートフォリオの株式比率は71%で26銘柄を保有(3月末は70%で26銘柄を保有)。株式部分の含み益は+23.0%(3月末は+19.8%)。ただし、71%のうち現物株のウェートは37%、日経レバレッジETFの保有比率20%の実質ロング比率は40%でロングは合計77%。これに対し日経ダブルインバースETFの保有比率10%の実質ロング比率は-20%、純金ETF5%は株式とは逆の動きをするため、これらのロング比率は-25%。トータルでは52%のロングポジションである。
4月は日米市場とも上昇した。米国市場はS&Pおよびナスダック指数が過去最高値を更新するとともにNYダウも昨年10/3の過去最高値26828ドルにあと170ドルにまで迫った。米国の経済指標や企業決算が堅調であることに加えて、景気低迷傾向にあった中国の経済指標がやや上向きになってきている点が大きい。米中貿易協議の首脳会談の動向はまだ明確になっていないが、ダウンサイドリスクが後退しているとマーケットは認識し始めた。一方、日経平均も急落前の昨年12月の水準にまで戻ってきているが、10/2の高値24270円までまだ2070円もあり日米の株価格差が一段と広がる形となっている。世界経済が持ちこたえつつ米中貿易摩擦問題が解消されるシナリオになれば、日本市場も昨年高値を目指す展開になる。それを見極める段階に入った。
ところが5月に入り、トランプ大統領の中国への第3弾の関税引き上げと第4弾の関税品目の発表で、これまでの楽観的ムードが吹き飛んだ。さらに米国企業のファーウェイへの輸出禁止のニュースが世界のマーケットを揺さぶる形となっている。これまで堅調に推移してきたNYダウはこれで4週続落となり反発ムードが見当たらない。これを受けて日本市場もリスク回避の動きが続き日経平均は21000円割れの展開となっている。
日本市場の今後の方向性は米国次第である。米中貿易協議が行き詰っており、予定されていた6月の米中首脳会談についてはスケジュールすらできない状況にある。トランプ大統領は第4弾の関税引き上げとファーウェイへの制裁で中国に最大限の圧力をかけて、満足のいく譲歩を引き出す戦略であり、我々はその動向を見守るしかない。
しばらくダウンサイドリスクの高い相場局面となりそうだ。こういう時に大事なことは、キャッシュポジションをきちんと上げておくことである。運用資金の半分くらいのキャッシュが持てれば最高だ。更なる下落相場が長期的には非常に大きなパフォーマンスの源泉となる。フルインベストメントしていると下落相場は苦痛の種でしかない。下げ相場を常に味方につける運用力が大事である。
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